「買取・下取に強くなる!」査定スキルアップ講座(後半)

「買取・下取に強くなる!」査定スキルアップ講座(後半)

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「買取・下取に強くなる!」査定スキルアップ講座(後半)

自動車販売業や整備業、SSで車販を強化しようとした際に、極めて重要となるのが買取・下取です。適正な金額で買取・下取した車両を、小売りや業販で販売することで、大きく収益を伸ばすことができます。その際に避けて通れないのが、「査定」です。ここでは、査定のスキルアップを目的に、査定の手順や修復歴の見分け方を解説します。
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修復車の定義

クルマは骨組みである『骨格』と、ドアやボンネットなどの『外板』から構成されております。
公取協の定義として、車体の主要骨格部分のいずれかを交換もしくは修正した車両を『修復歴車』と呼んでいます。一般的に修復歴車は通常の車両に比べて避けられる傾向にあり、 再販にあたっては、それなりに価格を下げなければ売れないのが現状です。したがって、査定を行う際には見落としの内容に細心の注意が必要となります。
『修復歴車=事故車』と解釈される場合が多いですが、交通事故を起こした車両でもバンパーやドア、フェンダーを交換したとしても、骨格部分ではない外板パネルを 交換しただけでは、修復歴車とはなりません。

車体の主要骨格部分

【注意】 ⑨のラジエーターコアサポートについては、事故による交換がされている場合が、修復歴となります。
    ラジエーター交換などの修理によるものは修復歴となりません。

修復車の定義
修復車の定義

こういった事故車両も、外観では判断できないほどにきれいに修復されます。
予備知識として、修復の割合として前部6割、側部2割、後部2割となり、斜め前からのオフセット衝突が大半を占めます。
※(保険会社のデータでは6:3:1)

車両前部の査定

修復歴車の中で、車両前部の修復歴がもっとも多く、全体の6割以上を占めます。 車両前部の修復は走行に影響を及ぼすことがありますので、修復部位の特定が重要となります。 たとえば、ストラット式サスペンションの場合、インサイドパネルによって前輪が支持されておりますので、インサイドパネルが交換・修正されていることで、アライメントに狂いが生じ、ハンドルが 取られたり、タイヤの偏摩耗を生じたりする可能性があります。
高年式の車両は、衝突時にボディの変形により衝撃を吸収する衝突安全ボディ(トヨタ=GOA、 日産=ゾーンボディ)を採用している車両が多く、軽微な事故でも、驚くほど広範囲まで変形が及んでいる事があります。
車両前部の事故は、ボンネットやフェンダーの交換跡を確認した上で、コアサポート取付ビスや スポット溶接跡・塗装跡、インサイドパネルやサイドメンバーの溶接取付部のシーラーの状態を確認する事で判別します。

車両前部の査定手順

部位別確認方法
■ラジエーターコアサポート

コアサポートは変形・修正・交換があったとしても、それだけであれば修復歴とはなりません。
ただし、骨格に隣接しているため、交換やダメージがあった場合はその周辺を注意して見る必要があります。

ラジエーターコアサポート、取り付けビス・スポット溶接の確認
ラジエーターコアサポート、接合部を再溶接している

■クロスメンバー(第一メンバー)
左右のサイドメンバーに挟まれ、溶接で留まっている部位です。
ラジエーターやバンパーで確認しにくい位置にありますが、ボンネットやコアサポートに交換や修正を確認した場合は注意して確認する事が必要です。

【例外】
低いものにぶつかった場合、クロスメンバーのみ損傷を受ける可能性もあります。
また、交換されていなくても、押され等により修復歴とされる場合があります。
ボンネットやコアサポートに交換や修正が確認できなくても、確認する必要があります。

クロスメンバー(第一メンバー)
クロスメンバー(第一メンバー)
クロスメンバー(第一メンバー)

クロスメンバーは非常に確認しにくい場合がありますので、確認する際は見るポイントを一箇所に絞るのではなく、視点を変えて確認することが必要となります。

サイドメンバー(フレーム)
前はコアサポートやクロスメンバー、側面はインサイドパネル、後ろはダッシュパネルに囲まれている部位となります。
したがって、サイドメンバーに損傷や修復、交換が確認できた場合には、隣接している部位にも必ず損傷があります。
衝撃の入る方向から考え、先に他の部位の損傷や修復・交換を確認し、サイドメンバーを確認するという手順となります。
サイドメンバーもクロスメンバー同様に確認し難い部位ですが、外板から骨格、衝撃の入る方向、隣接する部位の状態、これらを総合的に判断することで、 確認する事ができます。

【例外】
クロスメンバー同様に低いものにぶつかった場合、ボンネットにダメージが無くても、サイドメンバーの 先端のみ損傷する可能性があります。したがって、外板に損傷が無くても、サイドメンバーの先端の確認は常に 確認する必要があります。確認しにくい部位ですが、バンパーの隙間等から工夫して確認することが必要です。

サイドメンバー

■インサイドパネル(インナー)
衝撃の伝わる順番を考え、まずは外板が交換されているかを確認し、インサイドパネルを確認するという手順になります。
外に近い部分と、より内側の部分であれば、どちらが先に損傷を受けるかを考えると、外に近い部分(先端)となりますので、手順が大切です。 インサイドパネルは、フェンダーやボンネットのように1枚の鉄板で出来ている部位ではなく、複数のパネルを組み合わせて成型されている部位なので、いくつかの繋ぎ目があります。 先端部分に変形が無くても、新品に交換されていれば、形状は新車状態となります。先端部分→繋ぎ目の手順で確認をします。

インサイドパネル(インナー)
インサイドパネル(インナー)

■ダッシュパネル
エンジンルームと室内の仕切り部分のパネルとなり、インサイドパネルやサイドメンバーと繋がっています。
したがって、単体で損傷を受けることはありませんので、外から内の手順でインサイドパネルやサイドメンバーに交換や修正を確認した場合は、注意して確認することが必要です。 また、ダッシュパネルまで損傷が及んでいる修復歴車は損傷の程度が重大レベルであるため一般ユーザーへの再販には好ましくなく、査定及び買取にあたっては注意が必要です。(下図のマル印し箇所にて確認)

ダッシュパネル
ダッシュパネル

車両側部の修復査定

車両側面は、査定経験を多く積んだ場合でも、意外と見落としがちな修復歴です。
車両側面は、前部や後部に比べ衝撃に弱い構造となっているために、比較的軽微な事故であっても広い範囲まで損傷が及ぶことがありますので、注意して確認することが必要です。

車両側部の査定手順

車両側部の査定手順1
車両側部の査定手順2
車両側部の査定手順3
車両側部の査定手順4

部位別確認方法
■各パネルの取り付け状態

車両の外板パネルは左右対称に作られているため、各パネルの取り付け状態や隣接パネルとの隙間の間隔が均等となっているのが、正常な状態です。 取り付け部分の溶接やシーラーの状態・パネルの隙間の間隔が左右で異なっていないかを確認する。

■ドア・ドアヒンジの状態確認
衝撃は外側から内側へと伝わりますので、先ずはドアの状態を確認し、ヒンジの状態を確認するという 手順となります。ドアの交換歴の有無については、隣接パネルとの色調の違いやチリが合っているか、 板金歴がないかを確認し、シーラーの状態を確認します。シーラーの乱れや修復は比較的ドア下側に 見られることが多くあります。また、ヒンジの状態・取り付けボルトの状態で、交換の有無を判断します。 ヒンジのボルトに関しては新車から調整してあるクルマもあり、確認するときはドアの状態とあわせた判断が必要となります。

ドア・ドアヒンジの状態確認
ドア・ドアヒンジの状態確認

■ピラー修正
ウェザーストリップを剥がして、マスキング跡やスポットの状態を確認します。車両同士の側面事故 から考えると、たいていは急ブレーキをかけてぶつかるため、車両先端は沈み込んだ状態での 衝突となります。したがって、ピラー修正の場合は比較的下側のヒンジ周辺に多く確認できます。

ピラー修正
ピラー修正

【例外】
ピラーに修正や歪みが確認できると修復歴となりますが、シートベルトの金具などで損傷を受けることがあります。
この場合は外板を介しての損傷でないため、修復歴とはなりません。ドア交換の有無やドアトリムの状態も合わせて確認します。

■ピラー交換
センターピラーの場合、上下でカットして交換する事が多く、ピラーの真ん中周辺でマスキング跡やスポットを確認した場合、 交換を発見できない可能性があります。
ピラーは交換と修正で見る視点が異なることを認識しておくことが大切です。

ピラー交換

■フロア
フロアサイドメンバー・センターフロアパネルの2部から構成されている部位です。
フロアは外板を介さずに骨格となる部位です。したがって、外板パネルに板金や交換が確認できなくても、損傷を受けて修復歴となることがあります。また、フロアは範囲が広いために1回で判断しようとすると、見落としてしまう可能性があります。前後・手前・奥と視点を切り替えて確認することが大切です。

フロア
フロア

【例外】
比較的高年式の高額車などは、フロアがアンダーカバーで覆われて確認できない車両が あります。この場合はカバーの状態で、大きな擦り跡や割れ、不自然に新しいカバーと なっていないかを注意して確認します。

■ステップ
フロアを確認する時にステップの状態を併せて確認します。
サイドシルには修復する際に車両を固定するクランプ跡が確認できる事があり、修復歴発見の有力な手がかりとなります。

ステップ
ステップ

車両側部の査定時の注意点
左右どちらか片方の外板を前から後ろまで交換していることが確認できた場合。
この場合、横転している可能性があります。念のためルーフも確認しておくことが必要です。

車両後部の修復査定

車両前部の修復歴に次いで多いのが、車両後部の修復歴になります。車両後部は、車両前部と違い、左右クォーターパネルやフロアパネルが溶接にて接合されているため、 比較的強い構造となっておりますが、それだけに激しい衝撃を受けた場合、損傷が他の部分まで及びます。 後部に受けた衝撃が原因で、ルーフやピラーにゆがみや波打ちが発生しているケースもありますので注意が必要です。

車両後部の査定手順

車両後部の査定手順1
車両後部の査定手順2
車両後部の査定手順3
車両後部の査定手順4

部位別確認方法
■バックパネル

バックパネルの修正・交換の有無を確認するためには、バックパネルの接合部のシーラーの状態・スポット溶接跡にて確認します。
バックパネルの接合部の状態を確認するためには、トランク底部のボードを剥がさないと確認できないため、必ず荷物をおろして査定することが必要となります。
車両後部はトランクフロア・リアサイドメンバー・リアクロスメンバー・リアインナー・タイヤハウス等の骨格から形成されております。
バックパネルは内側にある外板パネルとなるため、バックパネル単体に変形や交換跡があってもフロアにダメージが波及していなければ修復歴とはなりません。

バックパネル
バックパネル

■トランクフロア
サイドメンバーやリアクロスメンバーと繋がっている部位となり、トランクフロアに修正や交換が確認できた場合は隣接する骨格も損傷が及んでいる可能性があります。
バックパネル・トランクフロアの手順での確認となりますが、低いものにぶつかったことによりバックパネルに損傷がなくても、トランクフロア単体で損傷を受けている場合があります。 したがって、バックパネルに修正や交換が確認できなくても、下側から確認することが大切となります。

トランクフロア
トランクフロア

■リアサイドメンバー
リアサイドメンバーも車両の最後部まで伸びている部位となります。モノコック構造の場合の殆どは、 バックパネル・トランクフロアと溶接で繋がっているため、バックパネル・トランクフロアの確認と同時にリアサイド メンバーの後端を確認することが必要です。

リアサイドメンバー

■リアインナー・タイヤ(ホイール)ハウスインナー
クォーターパネルの交換歴を確認した際、気をつけなければならないのが、リアインナーとリアタイヤハウスインナーの2点です。 どちらも骨格部位となりますので、修復歴扱いとなります。 通常はトリムカバーに覆われていますが、クォーターパネルに交換歴を確認したときはカバーをめくって確認することが必要です。

リアインナー・タイヤ(ホイール)ハウスインナー

【注意】
クォーターパネルに交換歴がなくても、サスペンションアームなどの足回りを損傷した場合、足回り構成部品がタイヤハウスに当たり、 打痕や変形がある可能性があります。1本だけ新しいホイールを履いていたり、1箇所だけ足回りの部品が新しい場合はハウスが大丈夫か注意して確認する 必要があります。フロントの場合はインサイドパネルになりますが、フェンダーの状態だけでなく、タイヤ・ホイールの状態を確認することで査定のヒントが発見できます。

車両屋根部の修復査定

ルーフパネルは外板ではなく、骨格の扱いになりますので、ルーフパネルの交換が確認できた場合は『修復歴車』となります。
凹みのみでは修復歴扱いにはなりませんが、他のパネル以上に加修費用がかかるため、見落としがちな部位ですが、査定時には必ず確認が必要です。 通常、修復の原因は衝撃による損傷となりますが、他の部位と異なり、車両屋根部の修復については、衝撃による損傷・雹害の2つの修復要因があります。 ルーフパネルの修復歴を判断することにおいては修復の要因を知っておくことで、判断の手がかりとなります。【ルーフパネルの修復要因】
■車両事故による損傷が原因となる修復
片側一面パネルが交換・修復されている車両は横転事故の可能性があります。
また、車両後部に受けた衝撃が原因となり、ルーフ・交換修復を行っている車両もありますので、車両後部が重大事故をしていた場合にも細心の注意が必要となります。

■雹害による修復
雹害については以降のパートでも解説しておりますが、ボンネット・トランクリッドに交換歴が確認できたものの、 その他の部位に何も確認することが出来ない車両は、特に注意してルーフを確認する必要があります。
また、ごくまれにルーフパネル単体のみ交換されている車両もある事を知っておく必要があります。

部位別確認方法
■ルーフパネル(セダンタイプ)

ワゴンやハッチバックタイプとは異なり、簡単にシーラーの状態が確認できません。
したがって、セダンタイプの場合は、助手席の天張りをめくって、スポット溶接跡を確認するのが、最も判断しやすい場所となります。

ルーフパネル(セダンタイプ)
ルーフパネル(セダンタイプ)

■ルーフパネル(ワゴン・ハッチバックタイプ)
リアゲートの状態を確認した際に、写真の部分を確認します。
シーラントを指で押すことで、後塗りシーラントかどうかが判断できます。
後塗りシーラントと判断できた場合は、セダンと同様に助手席部分も再度確認します。

ルーフパネル(ワゴン・ハッチバックタイプ)
ルーフパネル(ワゴン・ハッチバックタイプ)

その他注意が必要な車両

①メーター改ざん車、走行不明車
オドメーターの巻き戻しにより、実際の走行距離よりも表示距離を少なく販売される車両は、現在でも後を絶ちません。 車両の走行距離を偽って表示・販売することは、刑法の『詐欺罪』に抵触します。このような車両は、下記のチェックポイントを参考に注意が必要です。【チェックポイント】
 ■オドメーターの不揃い(アナログ式の場合)
 ■定期点検記録簿との照合
 ■メーターの取り外し跡
 ■シートのへたり具合や擦れ
 ■ステアリングやシフトレバーの擦れ
 ■各種スイッチの文字のかすれ
 ■エンジンルーム内の各種ラベル(オイル交換・タイベルなど)の走行距離表示

【走行管理システムについて】
過去にオークションに出品された車両は、日本オートオークション協議会のシステムにより、 車台番号や走行距離等のデータが蓄積されています。その蓄積されたデータと照らし合わせ、 過去に走行距離に異常があった履歴がないかを確認する事で、メーター改ざん車かどうかをチェックする事が出来ます。 カーリンク本部にて査定金額を算出した場合、2オーナー以上の表記があった場合は、 走行管理システムにて走行距離の異常がないかを確認しております。 ただし、オークションに出品されたことのない車両や過去に走行管理システムに照会のない 車両については、メーター改ざん車であっても判断できないので、注意が必要となります。

②車台番号改ざん車
車台番号を改ざんされた車両は盗難車である可能性が高く、盗難車であった場合、その車両に商品価値はありません。
車台番号改ざん車は、エンジンルーム内の車台番号打刻パネルの交換歴や打刻部分の 板金塗装によって打ち変えるものが多く、打刻パネル周辺を注意することで確認することが出来ます。

③接合車(2個1車)
2台の車両をきり繋いだ車両をいわゆる『2個1車』と呼びます。この時、片方の1台に盗難車を用いたり、 車台番号の打刻に細工されることが多く、このような不正車両を販売すると、刑法の詐欺罪にあたります。 その車両状態により、接合の箇所や方法が様々であるため、発見が難しいために日頃からボディの特長を頭に入れておくことが大切です。 ボディ色と裏側の色が違っていたり、フロア付近に切断溶接跡があるのに車両の前後に修復後がない。このような時は注意が必要となります。

③接合車(2個1車)

④雹害車
雹(ひょう)とは、空から降ってくる氷のかたまりのことです。強い雷雨に伴って降ることが多く大きさは 直径0.5~5センチメートルぐらいです。雹害を受けた車両の修理は、ボンネットやトランクリッドを交換されることが多く、 ルーフは目立たないものはそのままにされることがあります。修復歴はないのに、ボンネットやトランクリッドが交換されている 車両は、特に注意してルーフを確認する必要があります。

雹害車
雹害車

⑤火災車および消火剤噴霧車両
車両火災を起こしたことのある車両は、エンジンルーム内が塗装されている場合が多く、コーションプレートや各部品にコゲ跡が残っていたり、消火剤が付着している場合があります。
車内に消化剤の噴霧跡が確認できた場合は、盗難や犯罪に使用された車両の可能性があります。

⑥冠水車
洪水などにより冠水した車両は、室内やトランクルームに悪臭が残ることが多く、エンジンやダイナモ・コンピュータなどの電気部品に作動不調が発生するため、車両価値は著しく低くなります。
冠水車の疑いのある車両は、悪臭や内装の状態で判断します。内装は交換していてもシートベルトまで交換している車両は少なく、その汚れで判断できる場合もあります。

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