【メンテナンスショップレポート①】あなたの会社、10年後も存続していますか?
カテゴリ:整備収益増大
【メンテナンスショップレポート①】あなたの会社、10年後も存続していますか?
大きく変化している自動車流通市場。100年に一度の変革期とはよく言ったもので、ガソリンエンジン世界初の量産車であるT型フォードがアメリカで販売されていたのは、今からちょうど100年前に当たる1908年 – 1927年。その100年前は蒸気機関だ。
そして現代に至っては、CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)と呼ばれる自動車大変革が今後の整備業の市場を大きく変えることは間違いない。メーカー主導のマーケットとなるため、我々整備業の市場は縮小する。さらに少子高齢化によるドライバー人口の減少、若者の車離れが市場の縮小に拍車をかける。我々整備業にとってのこれからの10年は、何もしなければ売上も利益も全て10%以上減少するという厳しい現実が待ち受ける。今後の縮小市場の中で、我々整備業が生き残るための活路は顧客増大とLTV(ライフ タイム バリュー)の最大化しかない。いかに自社が保有する基盤顧客を増やすか、そしてその顧客に自社のサービスを数多く利用いただけるかがカギとなる。
ディーラーをはじめ大手販売店やカー用品店との顧客囲い込み合戦は既に始まっている。その明暗を分けるのは車販である。整備工場の顧客が他社に流出する理由として代替えによるものが10%以上を占めており(※1)、どんなに顧客を大切にしていても、車販のできない整備工場は顧客の数を維持することができず淘汰されるだろう。整備工場にとって車販の推進は、まさに待ったなしの状況なのだ。
「整備工場が車販を推進するにあたり、最も重要なのは?」各地で講演を行うと必ず受ける質問だ。新規客獲得のためのネット販促や折り込みチラシなどの集客施策、他社との差別化のためのリースや低金利ローンの導入…。どれも重要ではあるが、まず初めにやるべきは、自社の基盤客の代替促進だ。コストをかけて新規客を探す前に、まず足元を見てほしい。車検や整備で長年付き合ってくれているお客様は自社で車を買い替えているだろうか。
先の計算の通り、自社の顧客の中でも1年間に乗り換える顧客は14.2%存在する。つまり顧客を1000台持つ整備工場の場合、142台/年はどこかで乗り換えていることになる。
ということは、基盤客に142台販売できていない整備工場は、販売チャンスを逃しているばかりか、ディーラーなど他社への代替流出のリスクを大きくはらんでいるのだ。
逆に考えると、新規の顧客を追いかけなくとも、基盤客を対象とするだけで大きく車販を伸ばせるのだ。顧客1000台を持つ整備工場の場合、年142台販売し、台当たり利益20万円で年2840万円の利益が見込める計算となる。基盤代替率14.2%に達していない整備工場の経営者には、ぜひポジティブに基盤客の代替促進に注力いただきたい。
来春3月よりスタートする当コーナーでは、整備工場が車販を推進するにあたり必要となる戦術や戦術、具体的なテクニックをご紹介したいと考えている。乞うご期待!
(※1)日本自動車工業会の2019年度乗用車市場動向調査による代替サイクルは7年。1年で14.2%が代替する計算となる。