【メンテナンスショップレポート:番外編】「2月中旬、中古車の相場下落に注意」

カテゴリ:關友信の車販取り組みのための基礎工事
【メンテナンスショップレポート:番外編】「2月中旬、中古車の相場下落に注意」

オークションの相場高騰が続く中で、前回は買取を強化する上での「査定力の強化」について書かせていただいた。評価点の基準と正しい査定手順を学び、査定力を高め、ユーザー仕入れによる売り玉の確保、オークション出品による利益増大を目指したい。
今回は、買取強化には欠かせない「プライシング」について説明させていただく。
車両の状態を正しく評価するのが「査定」だが、その査定した車両を「いくらで売れるのか?」「いくらで買いとればよいのか」を算出するのが「プライシング」だ。中古車は、過去のオークションの出品落札の履歴データを参考にプライシングする。車種やグレードに加え、年式や走行距離、カラーや装備、そして評価点によって相場が形成されるが、卸売市場の魚や野菜の取引と同様に、需要と供給のバランスで相場は大きく動く。特に影響が大きいのは時期によるものだ。
近年、オークション相場は高値安定ではあるが、それでも相場は変動する。中古車の相場が大きく下落するタイミングは、年に3回ある。毎年、2~3月、9~10月、年末である。
2~3月と9~10月は、決算期で車検が多い時期であることに加え、ディーラーが決算期に合わせてセールを行うため、新車の販売台数も多い。新車の販売が増えると、代替で下取となる車の流通量も増える。そのため、オークションの出品台数は大きく膨れ上がるが、一方で決算期商戦が終わりに差し掛かるとユーザーの購買意欲も下がるため、中古車販売店のバイヤーは積極的に在庫を仕入れなくなっていく。このようにして、需要と供給のバランスが崩れ、大きく相場が下落することとなる。この決算期には毎年10万円以上の相場下落が見られるため、注意が必要だ。

また、年末の相場下落も特徴的だ。繁盛期が終わり閑散期と移行するだけでなく、年末年始の休業に向けて仕入れを押さえる動きや車両の年替わりといった気分的な影響、輸出の船便の休業、外国人バイヤーの帰国により相場の下落幅も大きい。せっかく買取で仕入れた車が、利益を生み出さないばかりか赤字になってしまうのではあまりに残念だ。
これらのタイミングでは、相場下落を予測し、買取価格のプライシングに特に慎重にならなくてはならない。
金額提示の際には、下記のような対策が必要である。
・引取予定日や期限を明確にすること
・できる限り、入庫を前倒ししてもらえるように交渉すること。
・高額車や特に相場下落が予想される車両は、代車を貸出してでも入庫を早めていただくこと
・それでも引取が先になるようであれば相場下落を考慮した金額を提示すること
これからの季節は、まさに相場が大きく変動する要注意のタイミングであるが、買取や下取の案件が増える時期でもあるため、正しいプライシングを身に付け、しっかりと利益につなげていただきたい。
チームエルでは、電話やファックスによる中古車の買取金額の提示や相場変動の情報提供、販路選定やオークション出品のアドバイスを行う「流通ヘルプデスク」のサービスを提供中。車販や買取を強化したい整備工場様はお問合せいただきたい。

常務取締役 關 友信 Seki Tomonobu
損害保険会社の営業社員から独立しプロ代理店を経営、その後、自動車販売店での企業を目指し、直営店に入社する。販売店の現場で買取査定や販売業務を経験し、直営店の店長やエリア統括マネージャーとして活躍する。2006年に愛車広場カーリンクのチェーン展開を開始したのと同時に、カーリンク基礎研修の開発に着手、カーリンクチェーンの研修チームを統括する。その後も直営店の出張査定センターのマネジメントやディーラーコンサルティングなど、幅広く様々な仕事を経験、2014年からはCaSSの会員制度を立ち上げ、会員向けのサービスや企画を開発。
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