【小阪裕司コラム第104話】業績の良い営業は何が違うのか
【小阪裕司コラム第104話】業績の良い営業は何が違うのか
先日、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の中古車店の方からご報告をいただいた。
その方は同社のワクワク系担当で社会人1年生。
ワクワク系歴約1年とのこと。
ご報告の内容は、ワクワク系では特に重要とされている顧客化について。
自社が行っている様々な取り組みを「顧客の旅デザインマップ」(実践会メンバーが活用している、私が開発した実践ツール)に落とし込んで整理してみたところ、顧客化のところの取り組みがほとんどないことが可視化できた。
これには焦ったが、それでも同社が長年多くのリピート客によって支えられてきたことに改めて感謝の気持ちもわいてきたとのこと。
その現状が分かった上で、さらに現状を整理してみると、営業担当ごとにリピートや紹介してくれるお客さんの数に差があることに気づいた。
そこで、特にリピーターの多い営業と他の営業とでは何が違うのかを分析すると、次のことが分かってきた。
- 自分から自己開示を積極的に行っている
- お客さんからいただいた情報を分析する
- 連絡をまめにする
- お客さんと接するときは「あなたに興味を持っていますよ」と伝わるような姿勢で臨む
報告にはそれぞれの具体的な行動も記されていたが、そこで彼女曰く、
「ワクワク系を学んでいない営業マンでしたが、やっていることはまさに『人にフォーカス』(筆者注:ワクワク系の基礎となる考え方)した接客です」
「なぜあの営業マンにはお客様があんなにやってくるのだろう?と不思議に思っていましたが、やっと理由がわかり腑に落ちた感覚です」。
さらに言葉はこう続いていた。
「図らずもこんなに身近にワクワク系を実践している人がいて、実際にどれほどの効果が出ているかを目に見える形で確認できたことで、改めてワクワク系に取り組む意欲が湧いてきました!本当にやれば結果はついてきますね!(疑っていたわけではありませんが、そんなにうまくいくものか?と思っていた節があります…汗)」。
社会人&ワクワク系1年生とは思えない適確な分析に嬉しくなるが、まさにそう。
「結果」には、必ずそれを生み出す「原因」がある。
従って、原因を正しく知って行えば、結果は自ずと生まれる。
そこでは、「うまくいくかどうか」は問題にならず、「正しく知り、行えるかどうか」が問題となる。
商いとは、言い換えれば原因と結果の法則であり、それを理解し営むのがワクワク系なのである。
小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)
山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。