【小阪裕司コラム第110話】食品スーパーならぬ食品スーパー1

【小阪裕司コラム第110話】食品スーパーならぬ食品スーパー1

カテゴリ:小阪裕司の「人の心と行動の科学」で商売を学ぶ

【小阪裕司コラム第110話】食品スーパーならぬ食品スーパー1

先日、このコラムでも時々取り上げさせていただいている、ワクワク系(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を、われわれはそう呼んでいる)食品スーパー店主から、驚きのご報告をいただいた。(ちなみに、先週取り上げた食品スーパーとは別の方だ)。

同店は、今を去ること2009年、廃業寸前となってワクワク系マーケティング実践会に入会した。その後、2013年には過去最高の売上・利益となり、その後も今日に至るまで過去最高を更新し続けている。そんな店主からの報告は、昨年11月、車で5分ほどのすぐ近くに、県下最大の企業による大型食品スーパーの新店舗がオープンしたことだった。店舗面積は、45坪と小さな彼の店のおよそ10倍。売上予算は10倍以上。これにはさすがの店主も、オープン月の客数・売上減は覚悟した。

そしてオープンの日。そのスーパーは新聞折り込みチラシで大々的なグランドオープンセールを開始。他の近隣スーパーも、オープンの前後には、これに対抗した大特価セールを連発。一方、彼の店はというと、それらを横目に、チラシもイベントも一切せず、粛々といつも通りの営業をしていた。

そうして、一番影響があると思われた、オープン日の3日間が終わり、昨年と客数・売上を比較してみた。すると驚いたことに、客数は前年比94%と、減ってはいるが微減に留まり、売上は2桁も伸びていた。その後1か月が経ち、11月の月次の数字を比較してみたが、客数は前年比105%、売上は前年比122%と、月次では両方伸びていた。近隣に巨大な食品スーパーがオープンしても、それに対抗し地域の他店が特価セールを連発しても、経営に影響なし。かえってこの店の商いの底堅さが明らかになった出来事だった。

そして報告の中でもうひとつ感心したことがある。それは店主による次のくだりだ。「また、けっこう以前からですが、店内で買い物されているお客様の会話から『ここの帰りにスーパーに寄って帰ろう』という声がちょくちょく漏れ聞こえてきます」。同店も、45坪と小さいとはいえ、「生鮮3品、惣菜、日配品、調味料、酒、雑貨など一通りそろえているスーパーのつもり」「品揃えも、どこのスーパーでも購入可能な一般的な商品のアイテム数が全体の約65%」はあると店主も笑う。

この店は、お客さんにとっていったいどういう存在なのか。店主らが何をしてきた結果、このような存在になったのか。それらもこのレポートには書かれていたが、続きは次回に。

小阪裕司

小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)

山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。

会員制サービス
「CaSS
(Car-business Support Service/キャス)」
に関するお問い合わせ

お申し込み方法やサービス内容、その他ご不明な点などがございましたら、
お気軽にお問い合せください!

  • 03-5201-8080
  • お問い合わせフォーム