【小阪裕司コラム第32話】インスタ、YouTubeより電柱広告

【小阪裕司コラム第32話】インスタ、YouTubeより電柱広告

カテゴリ:小阪裕司の「人の心と行動の科学」で商売を学ぶ

【小阪裕司コラム第32話】インスタ、YouTubeより電柱広告

ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、あるデイケアセンターからのご報告。

内容は同センターが行っている介護サービスの新規客の獲得にあたって広告を活用したものだが、これが地味ながらなかなか気づきが多い。ご紹介しよう。

今回、同センター事務長である彼女が活用したのは、昔からある地元情報誌。
発行部数13700部のものだ。
そこに小さなスペースながら広告を出すと、情報誌が配布されたであろうその日に一人の女性から電話があり、早速次の日には体験利用。

今回は早々と、その方と合わせて2人の新規利用者が獲得でき、年間収入も数十万円増える好結果となった。

ちなみに彼女が今回出した広告はデイケアサービスそのものではない。
そこで行われているヒップホップダンスやフラダンスを使ったリハビリ運動を楽しく行うプログラムだ。

それを無料体験してもらい、そこから新規の利用者が獲得できれば、広告費の投資分は十分回収できる。
そう考え、そうなるための仕組みを考案、その入り口として今回のメニューと広告となったのだった。

ここに至る彼女の気づきは、拙著『「儲け」を生み出す「悦び」の方程式』によるとのこと。
これは仕組み作りの本なのだが、広告を打つにしても、今までは出しっぱなしに
していた。

出した段階で「あー、出したな」と安心して、そこで終わっていた。
「つづきがない」「次へのつながりがない」と気づいた。
そこで今回の取り組みとなったのだが、今回彼女が選んだ媒体は昔ながらの比較的地味なもの。

しかし、こういう発想で仕組み作りができるようになると、インスタやYouTubeなど最新のものだけでなく、古い媒体にも使えるものがたくさんあることが分かってくる。
弊会の中には、今どき電柱広告を使って成果を上げておられる方さえいるのだ。

またいけないのは、例えば思ったように結果が出ないとき「今まで地域誌に広告を出していたが、もうインスタやYouTubeをやるべきではないか」といった思考になりやすいことだ。

そういう思考で新たなメディアやツールを使っても、収益を生み出す仕組みができていなければ、その広告や販促物は何も生み出さないままになる。
そうすると結果が出ないので「やはりインスタでなく地域誌に戻そう」などと迷走しがちだが、それでは収益に結びつかない。

重要なことは、どんな最新のメディアやツールを使うかではなく、どういう仕組みを作ろうとしているかなのである。

小阪裕司

小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)

山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。

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