【メンテナンスショップレポート⑨】中古車の注文販売で利益をとれているか?

【メンテナンスショップレポート⑨】中古車の注文販売で利益をとれているか?

カテゴリ:整備収益増大

【メンテナンスショップレポート⑨】中古車の注文販売で利益をとれているか?

 大規模な展示場を持たない整備工場で車販を推進するには、お客様の要望車をオークションから仕入れ販売する「中古車の注文販売」を避けて通ることはできない。

 中古車の注文販売は、店頭にある商品を売るのとは違い、目に見えない商品を販売するため、商談の難易度が高く、お客様の信頼が得られないと車探しを任せていただくことができないし、商談力がないと値引き商談に走りやすくなり、せっかく受注できても薄利であるといったことが起こりがちだ。

 注文販売でよく聞く失敗例に次のようなことがある。

お客様の要望が厳しく、なかなかぴったりの車が見つからない。
お客様の予算が厳しく、車があっても、なかなか落札できない。
何とか落札できても、適正な利益が取れず、儲からない。

 このような、要望通りの車がなかなか見つからない場合や、落札できても利益が出ないという場合、「注文の取り方」に問題がある場合が多いと思う。近年は、整備業やガソリンスタンドを中心にオークションの代行販売が増えており、お客様と一緒に、パソコンの画面で「一発落札」の出品車を見て車を選ぶ店舗も多い。もちろん、出品車を見ながら車を合意すること自体は悪くはないのだが、私が残念に感じているのは、わずかな代行手数料だけで中古車を販売し、薄利なだけでなく、顧客満足度も低い店舗が多いことだ。

 透明性を重視し、オークションの落札金額まですべて開示する店舗があるが、そういった店舗の代行手数料は、概ね5~10万円程度。中古車を販売する利益としては、とても十分とは言えない。名義変更の手数料や納車整備費用は別にいただくとしても、車両の販売利益が5万円で、お客様に満足なサービスができるだろうか。

 実際そういった店舗では、落札した車両に、出品票には記入されていなかった傷などがあったり、予測していない不具合が発覚した際、お客様にその修理費用を負担いただくか、そのまま納車することが多いという。これでは、お客様に心から喜んで貰えるはずがない。

 本来の中古車の利益は、数台に1台は思いがけないトラブルも発生すると考えて、対応できるように、いただかなくてはならないものなのである。飲食店でもホテルでも、原価を開示して商売をすることはないし、その必要もない。透明性を重視することと、原価となる落札額を開示することは、別の話であると考えたい。

 購入したお客様に喜んでいただき、末永くお付き合いしたいのであれば、お客様に喜んでいただいた対価としての利益を追求しなくてはならない。そのためには、適正な予算で適正な車両を注文いただくための商談力を身に付ける必要がある。中古車商談は決して平易ではない。日々、自身の商談を見直し、技術を磨いていかなくてはならないのだ。

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