「仕事に生きがいを感じる」社員を育成する
(※このコラムは、2016年2月のマンスリーレポートに掲載されたものです。)
突然、質問ですが、経営者の皆様は、次の2人の営業マンのうち、どちらを採用したいと思いますか?
営業マンAさん
「学生時代スポーツで活躍し、社会人になっても、仕事で活躍するとやる気に満ちていました。でも実際は思い通りにいかず、仕事は、お金を稼ぎプライベートを充実させるためのもので、目的や目標を持たず、上司から言われたことをするだけになっています。また、自分がやりたくない、難しいと思ったら避けるようにしています。」
いかかでしょうか。仕事は指示待ちで、主体性や積極性がないと感じる営業マンです。
では、次の方はいかがでしょうか。
営業マンBさん
「仕事が楽しいです。車の販売をしていますが、お客様に会うのも楽しいし、一度販売したお客様から、いつもありがとうと言われると、もっと頑張ろうと思えます。今は、基盤数を増やすために日々活動しています。また、もっと仕事を楽しめるように、何事もチャレンジすることを忘れないようにしています。」
同じ営業マンでも、AとBとでは発言や姿勢が見違えるように違います。ここまで仕事への取組りみ姿勢が変わったのは、「仕事をすることで幸せな人生が送れる」と確信し、行動に結びつけているからです。今回は、このような心的変化をもたらしたきっかけの一部をご紹介させていただきます。
この営業マンが、何を学んだのか。それは、仕事を通じで生きがいを感じ、全力で人生を生きた素晴らしい方々の生き様や人生観でした。
このような素晴らしい人生を送られた方々の発言や姿勢に、次のようなことを学びます。
- 仕事は自分の意志で決めているが、運命的な力が働いていると考え、迷わず没入すること。
- 生きがいは人それぞれ、時々において変わってもよいが、仕事に生きがいを持つことで人生が充実する。
- 人生を活き活きと過ごすためには、困難を受け入れ試練を乗り越えること。
共通している考え方は、『生きがいを得られる目標に向かって全力を尽くすことが幸せな人生となる』です。
そして、この考えを受け、営業マンは自身について、今までの人生とこれからの人生について、半日以上時間をかけて考えます。
次のメッセージは、それらを考えたあとに発せられた決意です。
「私はこれまで、仕事とは、お金を稼ぎプライベートを充実させるものと考えていました。仕事に生きがいを感じておらず、『言い訳』や『逃げていること』が多かったです。
事例の方の人生から学んだように、人生の大半を占める『仕事』に生きがいを感じることができるかどうかで、人生の幸不幸が左右されるということが分かりました。
過去を振り返ると、学生時代はスポーツに情熱を燃やしていました。あのときのように、仕事でも熱くなって、達成感や充実感を得て生きがいを感じたいと思いました。これからの人生を良くするために今までの考え方を変えていきたいと思いました。
これまでは、会社に言われたことをしているだけで、自ら目的や目標を鮮明にすることがありませんでした。これからは目的・目標を鮮明にして、『言い訳せず』、『逃げず』に全力で取り組もうと決意しました。」
いかがだったでしょうか。
今回ご紹介した営業マンのように活き活きと仕事をする方が多く集まれば、活力ある組織となると思います。社員を教育する場合、このように、仕事に生きがいを感じている人材をどんどん育成していきたいものです。
セクションマネージャー/チーフコンサルタント 蛭田 裕之 Hiruta Hiroyuki
買取専門店の営業スタッフの経験を経て、長年に亘り、委託販売のカーリンクチェーンの能力開発部門の中心メンバーとして活躍。
各種研修プログラムの開発を行う傍ら、トップトレーナーとして300人以上の営業スタッフの教育に携わり、カーリンクチェーン加盟企業の数多くの営業スタッフから絶大な信頼を得る人格者でもある。
商談力強化や店舗マネジメント改善等のスキル教育は勿論、マネージャーや営業マンが目標達成をするために最も大事な「折れない心」を育むマインド教育にも定評があり、人材育成の分野においてはカーリンクチェーン随一のコンサルタントと言っても過言では無い。