【チームエルのチーム作り第11回】トップの発言と行動が社員の成長の鍵
カテゴリ:チームエルのチーム作り
【チームエルのチーム作り第11回】トップの発言と行動が社員の成長の鍵
社長や幹部にこそ求められる自己研鑽
「社長、明るくなりましたねー」
とは、ある当社社員から言われた言葉です。
私を含む役員と幹部陣は先日、ある研修を受講しました。
その研修とは、「内観研修」といって、上司、部下、自分自身にそれぞれアンケートを取ってデータ化し、自分自身の日常の行動について360度評価を受けるものです。
その内容をもとに行動改善すべき課題を抽出し、自己革新につなげることができます。
その話をクライアントの社長様にお話ししたところ、「それって幹部向けの研修ですよね。社長もそんな研修受けるのですか?」との声を複数いただきました。
もちろん、当社では社長や役員でもそうした教育は受けますし、むしろ率先して受けています。
学びの実践が経営理念を浸透させる
当社の経営理念に「謙虚に学ぶ姿勢を持ち続けよう」というものがあります。
これを組織全体で実践するためには、役員・幹部らが率先してその姿勢を示し、実践していく必要があるのです。
ですから、当社では、前述の研修のほかにも、リーダーシップ開発研修を実施したり、あるいは、幹部陣が自主的に自社の行動規範集を作成して全社員向けに勉強会を実施したりと、成長を促進させるための「学び」が日常的に行われています。
経営理念は自社社員や組織のありたい姿、求める姿を明文化したものであり、この実践によって理想に近づいていることを実感しています。
こうして理念が浸透していく過程の実際を、今回はお話ししたいと思います。
「理想の姿」を示して新入社員の定着を高める
自社に経営理念を浸透させる活動は、現社員が理想の姿に近づいていく活動であると同時に、これから採用する社員の「定着率」にも大きく影響します。
考えると当たり前のことで、経営理念に共感した人材を採用するのであれば、その人材が入社時にイメージしているのは、経営理念が浸透している会社です。
では、入社後に教育する上司や先輩社員が理念に沿った行動をしていなかったら、どう感じるでしょうか?
「入社前のイメージと違う・・・」
そうなると、当然ですが定着率は下がってしまいます。
よって、経営理念の浸透は現社員と将来社員になる人、その双方にとって非常に重要なのです。
理念浸透に役立つケーススタディの実践
では、当社でも実践しており、クライアント企業様にもおススメしている経営理念の浸透活動をひとつご紹介します。
ケーススタディによる理念行動のすり合わせ
手順①
実際に起こり得る(過去に発生した)事象をケースとして設定する
手順②
部門・チームで集まり、そのケースに対して理念に照らし合わせて、取るべき行動を考え、一人ひとり発表する
手順③
どの発表内容も否定することなく、部門長・リーダーによって示される企業としての取るべき行動とのすり合わせを経て、今後、同様のケースが生じた際の指針にする
例えば、当社のケーススタディでは、「導入いただいた商品・サービスをお客様が100%正しく利用いただいたにも関わらず、全く成果や効果がないため、返品の要望があった場合、当社としてはそのお客様に対し、どのような対応をするか?」を考えました。
当社が掲げる「関わる全ての人に誠実である」という理念に沿って行動を考えます。
「仮」の想定で議論し、行動をブラッシュアップ
実際に今、目の前に起きている問題に対し、理念に沿う考え方・行動を検討するのも良いですが、即解決しなければいけない時間的な制約がある場合など、さまざまな制約条件が発生する場合があります。
ケーススタディであれば、あくまで「仮」のケースなので、リスクや実害がなく、遠慮なく意見や考え方をすり合わせ、理念行動を磨くことができます。
事象に対する考え方・具体的な行動を議論し、企業としての正しい考え方・行動を示し、実際の行動に変えていく活動の積み重ねが理念浸透につながります。
先輩社員は指針を実践しているか?
「ルールを守れと言うけれど、上の人間がだらしないじゃん…」
「朝礼で理念を唱和しているけど、何か意味があるの?」
このようなことをもし社員が思っていたら・・・。
もし思い当たる節がある場合は、社員の理念行動や定着においてリスクが高いと言わざるを得ないでしょう。
そうならないためには、自社の正しい行動とは何かという指針を明確にし、上司が率先して行動で示すことによって、具体的にとるべき行動を社員がすぐに理解できる仕組みを整えることが重要です。
若手社員からすれば、先輩社員が指針通りに行動しているか、尊敬できるかどうかが会社に対しての信頼に繋がり、会社への定着を左右します。
そのため当社は、前述のように社長や役員が率先して研修を受けたり、一人ひとりが思考を深められるケーススタディを実施したりと、多彩なカリキュラムに取り組んでいます。
「お手本」社員の存在がカギ
上記を踏まえてクライアント企業様にもご指導させていただいておりますが、以前「評価制度は賃金分配制度にあらず!わかりやすい評価で人を育てる」でも紹介させていただいた自動車の販売・整備を行っている富山県の企業様の事例を別の視点でお伝えします。
2022年現在、12名の従業員のうち9名が20代という企業様ですが、入社の経緯は新卒や社員からの紹介などさまざまです。
ただ、入社の決め手として、「会社の雰囲気が明るく、楽しそうな職場という印象だった」という点が共通しています。
この好印象な雰囲気を作ることができている理由には、勤続5年が経過しているある社員の存在が挙げられます。
後輩のお手本になっているこの先輩社員は、普段の業務においてはもちろん真摯な姿勢を備え、新卒の学校見学の案内を担当して学校側から新卒の方々を送り出しているほか、彼らが友達に紹介したいと思える会社づくりに貢献しています。
トップの発言と行動が社員の成長を促す
ではなぜ、会社を明るく楽しい雰囲気にできて後輩からも目標とされるような社員が育っているのでしょうか。
もちろん、その方個人の能力もありますが、会社の代表である社長自身が大事にしている価値観をきちんと社員に伝え、自ら率先して行動で示していることも大きく影響しています。
社長自らが、常にどんな状況でもポジティブな考えを持ち前向きな言動と行動を示すことで経営理念を体現して社員に浸透させることができているのでしょう。
また、その社長からこんなお声を頂戴しました。
「理念や評価する行動を明文化したことで自社に合う人材を探しやすく、また、正しく指導ができるので、社員からの納得を得やすくなった」
昨年、ご自身の価値観を明文化したことで、人材募集の際にもそれを発信でき、増えた社員の教育にも対応できるようになったと、喜んでおられました。
トップが自ら率先して行動することや、どんな行動を期待されているか社員が理解できるように具体的に示すことが、社員の成長や定着に繋がります。
もし組織に問題を感じる場合は、これらの点に不足がないか、見直してみてはいかがでしょうか。
代表取締役 堀越勝格 Horikoshi Katsunori
自動車販売等の経験を経て2002年大手経営コンサルタント会社入社後、カーディーラー、自動車整備業、中古車販売店等、業界企業の経営から現場改善までありとあらゆるテーマの実践的なコンサルティングを展開。 2006年からはカーリンクチェーンのSV(店舗指導部隊)を率い、店舗だけでなく、チェーン全体の生産性改善に向けた戦略的指導をも推進する。 自動車販売の人材育成・営業力強化は勿論、経営戦略の策定支援、製販の組織連携強化、組織活性化、人事評価システムの構築等、多岐に亘るテーマのコンサルティングを行い、クライアントオーナーの信頼に応え続けている。
取締役/シニアコンサルタント 岩根弘和 Iwane Hirokazu
大手経営コンサルティング会社入社後、自動車販売店の現場でマネジメント業務を経験。 その後、自動車FCチェーン本部立上げ、コンサルティング実務、部門マネージャー、事業部長に就く。 現在、経営コンサルティング部門の取締役事業部長。
チーフコンサルタント 矢澤 知哉 Yazawa Tomoya
大学卒業後、カナダ留学。現地での経験や友人の力になりたいという想いからコンサルタントを志し2019年に入社。 自動車販売直営店での実習、加盟開発営業やSV支援・経営コンサルティングのアシスタントを経て、コンサルタントとなる。 経営理念や評価制度策定、労働環境改善、採用をテーマとした支援に取組み、現在チーフコンサルタント。
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