【チームエルのチーム作り第8回】人が育つ仕組みをつくる~明文化した評価制度は成長へのロードマップ
カテゴリ:チームエルのチーム作り
【チームエルのチーム作り第8回】人が育つ仕組みをつくる~明文化した評価制度は成長へのロードマップ
人を育てることは企業の命題です。
しかし、ときにそれは、経営者にとって困難に直面する難題でもあります。
自社に合った人材を採用して育成し戦力として定着させる。
そんな理想の組織づくりには正しく設計された評価制度が不可欠です。
本コラムでは、弊社の評価制度がどのように機能し人を育てているか、解説しております。
求める人物像を共通認識に
皆さまは自社の従業員に対して「人材育成」をしていますか?
会社を成長させるのは従業員の皆さんです。
したがって、従業員が成長すれば会社も成長する。
ですので、人材育成をしないと会社は発展していけないわけです。
そして、皆さまの会社では「理想の人物像」は明文化されていますか?
人材育成の場面において理想の人物像が明文化されていないと、管理職の方々は、「自分の考えや経験」をもとに育成するしか手段がありません。
結果、育成の方向性に妥当性がないかもしれませんし、育成そのものが遅れるリスクもあります。
評価制度が人を育てる
自社の理想の人物像を明文化し、それを細分化して評価の基準としたものが「評価制度」です。
例えば、「ルールを守る」というテーマについて、以下のような基準を設定します。
- 注意を受けることがある=2点
- 注意を受けることはない=3点
- 注意を受けることはなく他者に指導もできる=4点
理想の人物像からテーマを設定しますので、通常、15~20くらいのテーマが設定されるでしょう。
その合計点を評価点とするのです。
各テーマについて自分がどこに当てはまるかが明らかになると、より高得点を取るための課題が自然発生的に設定されていきます。
例えば上記の例で、「1. 注意を受けることがある=2点」の場合は、「注意されないよう〇〇のルールを厳守する」といった問題提起がなされ、理想の人物像に近づくために次にしなければならないことが明確になります。
こうやって、日々の成長課題と評価を直結させることで、人材育成スピードが飛躍的に上がるのです。
つまり、行動が変われば点数が上がり、点数が上がれば上がるほど評価が上がり、給与も上がる。
そして、企業が求める理想の人物像に近づいていくのです。
評価制度は「人材育成システム」である、という認識があるかないかで会社の成長度合いは大きく異なってくることでしょう。
社員への評価制度はハッキリ!わかりやすく!
少子高齢化社会で労働人口が減る中、労働者側の「売り手」市場となり、新規採用に苦労されている企業も多いのではないでしょうか。
この環境下で、社員の定着率を高めるため、社員の成長・成果を評価する、明確な評価制度が求められています。
当社でも評価制度の構築・運用の支援をしていますが、導入される企業数は昨年に比べて倍増しており、関心の高さを感じています。
評価制度の導入や改定を検討されている企業様に、私が必ず聞く質問があります。
御社には、社員が具体的にどう頑張れば評価され、賃金が上がるのか、役職が上がるのか、社員自身が認識できる明確な基準はありますか?
自信を持って「イエス!」と答えられない企業様は、評価制度の導入・改定が必要かもしれません!
なぜなら、自社が求める理想の人物像が明確になっていない、または、その理想の人物像に対する「現状」を正しく評価する仕組みがない可能性があるからです。
では、ただ評価制度を作りさえすれば、社員が育ち、定着率が上がるのでしょうか?
残念ながら、それは「ノー」です。
評価する側が理想の人・理想の企業であれ
当社が考える評価制度で最も重要なのは、「評価する側の管理職教育」と「業績成果と連動する評価制度になっているか」です。
これ2つが出来ていないと、残念ながら評価制度は正しく運用されません。
どういうことか簡単に申し上げると、
評価・指導する側の管理職が自社の求める考え方や業務を全うしていない状態では、評価される側の社員は納得して、その管理者と共に成長したいと思えないですよね?ということです。
また、評価制度を正しく運用しても「会社の業績が上がらない」のであれば、社員の成長と業績が連動していないことになります。
これは、評価制度の設計自体が間違っているということです。
経営者の皆様は、業績が上がらないのに、社員様の給与を増やすことはできないですからね。
評価基準に沿った行動の蓄積が社員を定着させる
当社は実践主義を掲げていますので、評価制度の構築・運用を支援する立場として、上述の考え方を基にした評価制度を運用しています。
私自身、社会人未経験から当社に入社し、当社の評価制度によって育成され3年が経とうとしています。その育成されてきた立場から、お話しいたします。
経営の「け」の字も知らなかった私が、この3年間で人間性や知識など様々な面で成長でき、経営に携わる方々と同じ目線で経営について考えられるようになりました。
当社の理想となる人物像に近づくような成長を遂げていくなか、明確な基準のある評価制度と会社が求めるものを体現する指導者の存在は重要だったと思います。
定められた項目や基準を踏まえて、どのような行動をすれば評価点が上がるのかを上司とすり合わせ、日々の指導もそれらを基に行われるため、指導に一貫性があると感じられました。
私には、仕事量が増えてきて仕事をうまく進めることに苦労した時期がありました。
その際、「業務計画遂行」という項目を基に明確な指導を受けました。
効率的に業務を進めるために、何をすれば良いかを具体的に指導してもらったことで、スピード・品質を改善でき、評価点を上げることができたのです。
成長への具体的なイメージづくり
社員が、どのように成長(改善)すれば良いのか明確なイメージを持てない状態でいると、成長スピードが鈍化するだけでなく、指導を理不尽に感じる場合もあります。
そのような弊害は、指導者である管理者が、指導する社員に“あるべき姿”を明確に伝えることで防ぐことができます。
また、管理職が複数名いる場合、管理者によって言っていることが異なっていたりすると部下は困惑します。
細かい仕事のノウハウなどはそれぞれに違いがあるのかもしれませんが、会社が考える”社員に目指して欲しい方向性”を統一することで、社員の会社に対する信頼が向上します。
以上のことから、会社の「理想の人物像」を明確にし、それを基にした成長のロードマップ=評価制度を作り浸透させていくことの重要性がお分かりいただけるかと存じます。
もし、自社の「理想の人物像」が定まっていないと感じられるのであれば、まずは経営に関わるメンバーの間で議論を尽くし、自社における人材育成のゴールについて共通の認識を持つことから、人が育つ仕組みづくりの第一歩を始めてみてはいかがでしょうか。
代表取締役 堀越勝格 Horikoshi Katsunori
自動車販売等の経験を経て2002年大手経営コンサルタント会社入社後、カーディーラー、自動車整備業、中古車販売店等、業界企業の経営から現場改善までありとあらゆるテーマの実践的なコンサルティングを展開。 2006年からはカーリンクチェーンのSV(店舗指導部隊)を率い、店舗だけでなく、チェーン全体の生産性改善に向けた戦略的指導をも推進する。 自動車販売の人材育成・営業力強化は勿論、経営戦略の策定支援、製販の組織連携強化、組織活性化、人事評価システムの構築等、多岐に亘るテーマのコンサルティングを行い、クライアントオーナーの信頼に応え続けている。
取締役/シニアコンサルタント 岩根弘和 Iwane Hirokazu
大手経営コンサルティング会社入社後、自動車販売店の現場でマネジメント業務を経験。 その後、自動車FCチェーン本部立上げ、コンサルティング実務、部門マネージャー、事業部長に就く。 現在、経営コンサルティング部門の取締役事業部長。
チーフコンサルタント 矢澤 知哉 Yazawa Tomoya
大学卒業後、カナダ留学。現地での経験や友人の力になりたいという想いからコンサルタントを志し2019年に入社。 自動車販売直営店での実習、加盟開発営業やSV支援・経営コンサルティングのアシスタントを経て、コンサルタントとなる。 経営理念や評価制度策定、労働環境改善、採用をテーマとした支援に取組み、現在チーフコンサルタント。
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