【メンテナンスショップレポート⑳】「間違いだらけの案件管理」
カテゴリ:整備収益増大, 關友信の車販取り組みのための基礎工事
【メンテナンスショップレポート⑳】「間違いだらけの案件管理」
次の会話は私現場でよく見てきた一例だ。皆様の店舗では、このようなケースはないだろうか?心当たりがあるようなら、車販売上を伸ばすチャンスが大いにある。
ケース①
上司 「今月受注できそうな見込み案件はあと何件あるの?」
営業スタッフ 「えっ、えっと~、何件かな…。(あたふた)」
上司 「商談案件を管理してる管理表があるでしょ?」
営業スタッフ 「えっと…、すみません…、つけてません…。」
ケース②
上司 「この商〇〇さんの案件って、今どうなっているの?」
営業スタッフ 「その案件はお客様が一度考えたいと仰っています。」
上司 「考えたい、ってお客様は何を考えたいの?」
営業スタッフ 「えっ…? 何を…? すみません。わかりません…。」
車販の営業にとって、案件管理は極めて重要で、その管理の仕方によって、受注率や受注台数は大きく変わってくる。今回は、『デキる営業スタッフ』と、『残念な営業スタッフ』の案件管理に関する『行動』の違いをご紹介させていただく。
残念な営業スタッフが行っている案件管理 ①案件を記録しない
営業において商談案件を記録することは『当たり前』のことだ。しかし、意外と多くの営業スタッフが商談案件を『記録』せずに、『記憶』している。
例えば、私が支援先の企業に訪問した際、営業スタッフに「今月の案件管理表を見せてほしい」と依頼する。すると営業の方から次のような回答が返ってくることがある。「すいません! 忙しくて全部入力し切れていないんです…。」そして、顧客カルテを取り出し、商談の内容を思い出そうと、一生懸命『記憶』を辿り、必死に思い出してくださる。しかし、人の記憶には限界がある。古い案件だと、商談内容はもちろん、お客様の顔すらも忘れてしまっていることもある。
『デキる営業スタッフ』は、そもそも自分の記憶を信用しない。デキる営業スタッフは『売れっ子』なので、顧客の数も、毎月の商談数も、毎月の受注台数も膨大だ。そのため、すべての商談についてお客様の話した内容を詳細に記憶することはとても無理なのだ。そのため、『デキる営業スタッフ』は、すべての案件を、記憶ではなく、必ず『記録』として残す。お客様から得た情報や会話の内容を詳細に記録し、その上でお客様にとって最適な提案を考える。中には、顧客の似顔絵を描いている方もいる。お客様にとっても、担当の営業スタッフが前回の会話の内容を覚えていると、「ちゃんと自分のことを覚えていてくれたんだ!」と喜んでくれる。
まずは、
・商談案件はすべて記録に残すべし!
・商談内容は、詳細に記録するべし!
である。
残念な営業スタッフが行っている案件管理 ②お客様からの連絡を待っている
商談で、お客様から「少し検討して連絡します。」と言われることがある。このようなとき、多くの営業スタッフが次のように返答する。「承知いたしました!ご連絡お待ちしています!」…私はいつも疑問に思う。「お客様は何を検討するのだろうか?」「お客様はいつ連絡をしてくれるのだろう?」
案件フォローというのは、お客様からのアクションを待つのではなく、「こちらからアクションを起こすこと」を言う。
『デキる営業スタッフ』は、決してお客様からの連絡を待たない。即決ができない場合は、自らが次に連絡するタイミングを、必ずお客様と「事前に合意」している。ポイントは、商談時の商談の終わらせ方にある。お客様から「一度考検討したい。」と言われた場合、デキる営業スタッフは、次のように対応する。「ちなみに、現在お車のご購入に際して、ご検討される点はどういったことでしょうか?」「その点が解決した場合はご購入ということでよろしいでしょうか?」「最終的にいつ頃ご判断できそうですか?」「それでは、私も解決できる方法を一度考えてご提案をさせていただきますので、〇月〇日の〇時頃に、私からお電話をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
ここでのポイントは、
・お客様が何を検討し、いつ結論を出すのかを把握すべし!
・こちらから連絡する日時と理由を事前に合意すべし!
である。
ご紹介させていただいた2つのポイント、商談の案件管理にぜひお試しいただきたい。
常務取締役 關 友信 Seki Tomonobu
損害保険会社の営業社員から独立しプロ代理店を経営、その後、自動車販売店での企業を目指し、直営店に入社する。販売店の現場で買取査定や販売業務を経験し、直営店の店長やエリア統括マネージャーとして活躍する。2006年に愛車広場カーリンクのチェーン展開を開始したのと同時に、カーリンク基礎研修の開発に着手、カーリンクチェーンの研修チームを統括する。その後も直営店の出張査定センターのマネジメントやディーラーコンサルティングなど、幅広く様々な仕事を経験、2014年からはCaSSの会員制度を立ち上げ、会員向けのサービスや企画を開発。
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