【小阪裕司コラム第31話】2020年やってはならないこと
【小阪裕司コラム第31話】2020年やってはならないこと
新年、明けましておめでとう。
今年もあなたに、心から愉しくしかも儲かる商いの世界の様々な一面を伝えていきたい。
そこで年初の今日は、やや抽象的で小難しい話になるが、今年様々な具体的事例を通じてお伝えしたいことを読み解くフレームを提示しておきたい。
私たちが20年に渡り、これまで全国の数千社の企業、数十万人の方々とここで提唱する商いの活動を行って来て思うことは、商いにはひとくくりにはできない、様々な道筋があることだ。
そしてそこでは各々異なる”システム”が動いている。
ちなみにここで言う「システム」は、狭義のITによるシステムのことでなく、社会が動き、成り立つとき、そこに存在している”成り立ち”そのもののことを指す。
そしてそれは、あなたが意識するしないに関わらず、あなたの商いにも存在しているものだ。
私はこの研究で2011年に博士号を授与されたので、ここはまさに専門のひとつなのだが、多くの人には商いがシステムには見えていない。
例えば外からは同じ「スーパーマーケット」に見えるとしても、それが利用客にとにかく「便利」という価値を提供しようとしているものか、主に「愉しい」という価値を提供しようとしているものかによって、実はそこで動くシステムは異なる。
しかし人は目に見えないシステムでなく、見える店構えや商品に目を奪われるので、どうしても同じ業種業態に見えている。そこで解決されない問題が生じるのである。
そこで年初に問いたい。あなたは商いのどの道筋を行こうとしているのか?
なぜこれを問うか。
それは選ぶ道筋によって、やるべきこと、優先順位、やってはならないことなどが異なるからだ。
例えばあなたが、地元の人々に主に愉しさを提供し、好かれることに重きを置いた、付加価値の高いスーパーマーケットをやりたいとしよう。
ならば、セルフレジを入れて効率を上げるのではなく、レジを”人”で価値化するべきだ。
なぜならレジは、人による付加価値をビジネスに生む機会だからだ。
逆に、「便利さ」を主な提供価値とするなら、セルフレジの導入は必要だろうし、いっそのこと顔認証×自動決済の方がより便利だろう。
2020年からの大きなテーマのひとつは、「人が人でなければできないことをやり、そこに付加価値を生む」こと。
しかしそれも、どの商いの道筋を選ぶかによる。
もちろんワクワク系(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を、われわれはそう呼んでいる)はそこを最重要視する「人の道」だ。
2020年は、こういう考え方に立って、やるべきことを徹底してやり、やってはならないことを決してやらない年となる。
この1年、そうして歩んでいくことで、あなたのあるべき未来が形作られていくのである。
小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)
山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。