プラスワンの提案
カテゴリ:キバン博士の基盤代替
プラスワンの提案
基盤代替に携わって12年、キバン博士がお送りする基盤代替コラム。
今回は、分かっていてできていない「プラスワンの提案」についてです。
ある店舗に訪問したときのことです。車検で入庫した車を前に、整備士の方がこんな会話をしていました。
整備士A :「この車、ブーツがやぶけていますが、車検を通すのですか?」
先輩整備士B :「交換だってさ。」
整備士A :「はい。わかりました。バッテリーも結構弱くなっていますけど。」
先輩整備士B :「そっちは、今回見送るって。」
整備士A :「早めに換えた方がいいですけどね。」
先輩整備士B :「あと、一緒にタイヤ交換もお願い。」
整備士A :「はい。わかりました。あれ?タイヤの溝も減っているな。
次のシーズンは厳しいですよ。」
先輩整備士B :「スタッドレスの方は?」
整備士A :「うーん・‥そっちはまだ大丈夫です。」
先輩整備士B :「じゃあ、まあいいよ。」
整備士A :「そうですけど‥‥私だったら乗り替えちゃいますけどね。」
先輩整備士B :「余計なことは言ってないで、サッサと片付けるぞ。」
「私だったら乗り替えも考えるのですが、車検を通されますか?」
とお客様に提案することは、「余計」なことなのでしょうか?
また、ある店舗でこんなことがありました。
フロントの女性スタッフと車検入庫されたお客様との会話です。
お客様 「すぐ乗り替えるので、オイルも何もしなくていいよ。」
スタッフ「はい…でも何故、車検通されるのですか?」
お客様 「乗り替えを考えていたんだけど、新車の納車が3ヶ月もかかるらしいんだ。」
スタッフ「そうなんですか。うちなら代車お出しできますけど。」
お客様 「え、そうなの。」
嘘のような話ですが、こんな会話をきっかけに、
実際にこの女性スタッフは新車を販売したのです。
車販の営業なら、乗り替えで来店されたお客様に「何故、乗り替えするんですか?」というのは定番の質問です。
一方、車検で入庫されたお客様に「何故、車検を通されるのですか?」と質問をすることは、普通はないです。
入庫してくれているわけですから、ある意味「余計」な質問と思えるでしょう。
でも、実は、これらの「余計」なことが基盤代替への第一歩なのです。
車検で入庫したお客様に車検、オイル交換で入庫されたお客様にオイル交換、
タイヤ交換で入庫されたお客様にタイヤ交換するのは当然です。
でも、それだけでは代替にはつながりません。
もうひとつの、何かプラスワンが必要なのです。
<作:キバン博士>