【小阪裕司コラム第81話】生殺与奪の権はコロナにあるか?

【小阪裕司コラム第81話】生殺与奪の権はコロナにあるか?

カテゴリ:小阪裕司の「人の心と行動の科学」で商売を学ぶ

【小阪裕司コラム第81話】生殺与奪の権はコロナにあるか?

この1年、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)では会員のみなさんと、頻繁にオンラインミーティングを行ってきた。

そのなかのひとつに、月に数回開かれる座談会のような雰囲気の場がある。ここで先日、沖縄でゲストハウスを営む方と大阪でバーを営む方の発言が印象的だった。

まずは沖縄のゲストハウスオーナーだが、最近のコロナ情勢の変化により、順調に回復していた宿泊に今、キャンセルが続出しているとのご報告。ただその方、実に冷静にそのことを報告される。

このオンラインミーティングを始めたのは緊急事態宣言が出た4月上旬からで、そのときからしばしば顔を出してくれている方だが、4月初めは大層落ち込んでおられたのを覚えている。

後で聞いたことだが、そのときはゲストハウス存続にかなりの不安があったという。
今回そのことを告げ、あの頃とずいぶん違いますねと言うと、彼は、今はとても冷静に物事を見て考えられると言う。

それには、ワクワク系の仲間たちがこの間取り組んできた手立ても参考に、自身も様々に実践し、期待以上に反応が得られてきたことも糧になっていると。

そんな彼が今も行っていることのひとつは、沖縄の市場から彼の目利きで新鮮な海産物を送るお任せ通販だ。

こちらの利用客からはすでに「ちょっと豪華な年末年始をどう過ごすか」の相談も受けており、宿泊の方が現在の状況になる前から、新たな取り組みが進んでいた。

もうお一方の大阪のバーのマスター。こちらは以前このコラムでも紹介した、4月5月の緊急事態宣言下で打った、テイクアウトや通販、自店のチケット販売などの手立てが功を奏し、売上をほとんど落とさなかった方だ。

こちらは、6月以降、通常営業に戻った後もワクワク系らしい様々な手を打ち続けているが、お店の方はこのところのコロナ情勢の変化で、営業時間短縮となる模様。

しかしオーナー、こちらも実に冷静に、すでにどんな手立てを打っているか、どんな成果が上がっているかを話される。

今年、商人はコロナの荒波に翻弄され続け、いまだその波は収まる気配もない。

しかしわれわれは4月5月の頃とは違う。何が違うかと言えば、彼らに象徴されるように、今日までに考えてきたこと、打ってきた手、そこから学んだことが活かせる状況にある。先日の場でも誰かが言ったが、今はやるべきことが見えているのだ。

だからこそ、冷静で、頭も回り、適切な手が打てる。

荒波の中にも舵取りの方法はある。

われわれ商人の生殺与奪の権は、コロナにはないのである。

小阪裕司

小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)

山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。

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