【小阪裕司コラム第91話】商いという冒険に

【小阪裕司コラム第91話】商いという冒険に

カテゴリ:小阪裕司の「人の心と行動の科学」で商売を学ぶ

【小阪裕司コラム第91話】商いという冒険に

ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のある飲食店から、「今まで実際にやったこと、考えたことを整理することで今年以降の指針にする」とのことで、ご報告をいただいた。

これを読むと、実践の成果もさりながら、そこにたどり着くための決定的に重要なことが分かる。
今日はこの報告書の一部を、ほぼ原文のままご紹介しよう。

「ワクワク系実践会に入会してから、1日の労働時間は3分の2以下に、休日数は2倍 以上、利益率は増えて売上も上がりました。
今は当たり前のことのように感じています が、変わっていなければ、今回のコロナ禍で窮地に陥ったことは間違いありません」。

報告書はこの書き出しから始まる。

次いで書かれているのは、2016年からの客単価の推移だ。
2016年の客単価は5018円。 それが年々伸びていき、昨年には8266円になっている。

この推移について、店主はこう語る。

「入会前の2016年には、売値を決めて安いものを探して仕入れるようにしていました。商品単価1000円の壁というものがなぜか自分の中で設定されていました。(1000円を超えるメニューは原価が高くないと売れないという考え)」

「入会した2017年は冒険がはじまった年でした。商品を適正原価で売るようにしました。つまり値上げしました。これはすごく怖かったです(笑)そしてランチの営業をやめました。これも怖かったです(笑)そして時間をつくって、POPや看板、メニュー、HPなどのまねぶをはじめました。2018年には深夜営業をやめました」

「2019年ころから店のメニューはお客さんの喜ぶだろうものに変わりはじめ、なるべくお値打ちなものを仕入れるスタイルから、最高のものを取り扱うようになりました。売上も飛躍的に伸びて過去最高売上を更新しました」。

そしてこの報告書の終わりには次の言葉がある。

「お料理コースだけで1万円を超えるものが人気だなんて、入会前の自分に教えても絶対信じないでしょう(笑)」。

彼は文中で「冒険」という言葉を使っているが、商いとはまさにそういうものだ。そし て、そこで決定的に重要なことは、彼の最後の言葉の中にある。それは、その冒険の先 に待っている未来を信じることだ。

確かにそれは難しい。では彼はどうしたか。この報告書の中に何度も出てくるのは、他 の実践者とつながっていくことが、結果として、自分を待つ未来につながっていった事実だ。

そしてこの報告書は、次の言葉で締めくくられている。「2021年、今が一番楽しいかもしれません。挫折もするでしょうが、みんなと一緒なら多分大丈夫でしょう!」

小阪裕司

小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)

山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。

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