【メンテナンスショップレポート⑬】整備工場が車販に取り組む際に重要なこと

【メンテナンスショップレポート⑬】整備工場が車販に取り組む際に重要なこと

カテゴリ:整備収益増大

【メンテナンスショップレポート⑬】整備工場が車販に取り組む際に重要なこと

 これまで、整備工場が車販を推進するための具体的なノウハウを紹介させていただいてきた。今回は、整備工場が車販に取り組む際に重要なことを、今一度お伝えしたい。

 整備工場で車販を推進する際に、何をおいてもまず初めにやるべきは「自社客の代替促進」である。ネット販促やラジオCM、折込チラシなど、コストをかけた新規集客に取り組む前に、まずは、車検や整備で長年付き合ってくれている顧客にこそ、自社で車を買い替えてもらいたい。

 今後の縮小市場で整備工場が勝ち残るためには、顧客数の維持・増大が不可欠だ。人口減少や少子高齢化が進む中で、高齢者の免許返納による顧客流出は避けられないが、一方でそれ以上に、代替による流出の影響が大きい。顧客に車検案内の電話をした際に、「すでに乗り換えている」と返答をいただくことは誰しも経験があると思うが、この代替流出を食い止めることが必要だ。顧客がディーラーや中古車販売店で代替すると、残クレやマイカーリースによる購入で、多くの場合、メンテパックが付帯される。こうなると、これまで長くお付き合いしてきた顧客だったとしても、3年から5年は車検やメンテが入らなくなる。それどころか、そのまま他社に流出してしまう可能性も高い。「購入はディーラー、車検や整備は近くの整備工場で」という棲み分けはすでに過去のものなのだ。この代替流出を防ぐには、自社の車販力を高め、「基盤代替」を推進するほかにない。どんなに顧客を大切にしていても車販のできない整備工場は、顧客の数を維持することができず淘汰されるだろう。

 さて、整備工場では、基盤客の代替がどれだけできていれば合格点なのだろうか。基盤代替力を測る指標に「基盤代替率」がある。現在の代替サイクルは約7年で、1年では14.2%が代替する計算となる。つまり、基盤客の14%に自社で販売できていれば、理論上、代替流出はないということだ。まずは、自社の基盤客数の14%の基盤代替を目指してほしい。顧客数が1000台の整備工場であれば140台である。

 基盤代替を推進するには、「車販力」と「案件発掘力」の両面をレベルアップする必要がある。「車販力」は、残クレやリースなどの商品提案力、新車の仕入れやオークション活用力、商談の受注力、商談案件のマネジメントなどだ。代替案件を確実に受注につなげるためのスキルである。一方で、どんなに車販力が高くても、商談案件がなければ販売は増えない。代替案件を発掘する力が必要なのだ。この「案件発掘力」を高めるには、一足飛びにいかず、地道な戦略が必要だ。基盤客との接点を増やし、顧客の代替の意向を収集し、代替の提案をしていく。車検から次の車検までの2年間の間のオイル交換や法定点検、自動車保険満期などのタイミングで、丁寧にこれを行えば、車販の見込み案件はどんどん増えていく。

 次回は、この「顧客と接点を増やす手法」を解説したい。

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