『デキる営業マン』 と 『残念な営業マン』の現場でよくある話 ~案件管理編~
(※このコラムは、2016年8月のマンスリーレポートに掲載されたものです。)
ケース①
上司 「今月の見込み案件は全部で何件あるの?」
残念な営業マン 「えっ、えっと~、あの~、何件だったかな…。(あたふた)」
上司 「商談案件を管理してる管理表があるでしょ?」
残念な営業マン 「えっと…、すいません…、つけてません…。」
ケース②
上司 「この商談案件って、今どういう状況になっているの?」
残念な営業マン 「その商談案件はお客様が一度考えたいと仰っています。」
上司 「考えたい、ってお客様は何を考えたいの?」
残念な営業マン 「えっ…? 何を…? すいません…、わかりません…。」
ケース③
上司 「この商談案件って2ヶ月前の案件だけど、今もまだフォローしているの?」
残念な営業マン 「はいっ! お客様が『また連絡するね。』と仰っていたので、その連絡を待っている状態です!」
上司 「その連絡っていつくれるの?」
残念な営業マン 「えっ…? いつ…? すいません…、わかりません…。」
上記の会話は私が過去に現場で実際にみてきた一例です。
皆様のお店では、このような会話が繰り広げられていたりしませんか?
もし、お心当たりがあるならば、まだまだ売上を伸ばすチャンスが大いにあります。
現場では実際に起きている!間違いだらけの案件管理
営業マンにとって、案件を管理することは極めて当たり前のことですが、売上成績の良い、いわゆる『デキる営業マン』と、売上がなかなか伸びない『残念な営業マン』では、一言で『案件管理』といっても、それぞれの営業マンが実際に行っている『行動』は、まったく違います。
今回は、『デキる営業マン』と、『残念な営業マン』の案件管理に関する『行動』の違いを一部ご紹介させていただきます。実際に現場で起きている、間違った『残念な行動』を知り、受注に近付けるための正しい『デキる行動』を身につける一助となりましたら幸いです。
残念な営業マンが行っている案件管理 ~その① 案件を記録しない~
「はっ?」 と思われる方も多いかもしれませんね。「案件を記録しないなんてあり得ないでしょう?」 と心の中で思いましたよね? その通りです。営業マンが案件を記録することは『当たり前』ですよね。しかし、実は意外と、多くの営業マンが商談案件を『記録』せずに、商談案件を『記憶』しているのです。
例えば、私がSVとして加盟店様に訪問し、営業の方に次のように問いかけます。「今月の案件管理表を見せていただけますか?」すると、営業の方から次のような回答が返ってくることがあります。
「すいません! 忙しくて全部入力し切れていないんですが…。」
「すいません! もしかしたら抜け漏れがあるかもしれません…。」
実は、このような回答は珍しくありません。そして、営業マンは商談案件を思い出そうと、顧客カルテを取り出し、一生懸命『記憶』を辿り、当時の商談の内容を必死に伝えようとしてくださいます。当然ですが、人の記憶には限界があります。古い案件ほど、商談内容も、またお客様の顔すらも忘れてしまっていることさえあります。
デキる営業マンが行っている案件管理 ~その① 案件を記録する~
『デキる営業マン』は、そもそも自分の記憶を信用しません。それは何故でしょうか?答えは簡単です。
デキる営業マンは『売れっ子』ですので、顧客の数も、毎月の商談の数も、毎月の受注台数も膨大です。そのため、すべての商談についてお客様の話した内容を詳細に記憶することはとても無理なことなのです。
『デキる営業マン』は、すべての案件について、記憶ではなく、必ず『記録』として残します。
記録の仕方は営業マンによって異なりますが、お客様から得た情報やお客様との会話内容を詳細に記録し、その上でお客様にとって最適な提案を考えます。顧客カルテに顧客の似顔絵を描いている方もいらっしゃいます。
商談内容を詳細に記録に残すことで、後日再商談を行う際も、前回お客様と会話した内容を思い出すことができます。お客様にとっても、担当営業マンが前回の会話の内容を覚えていてくれたということだけで、「ちゃんと自分のことを覚えていてくれたんだ!」と感動し、その感動が営業マンに対する信頼へと変わっていきます。
まずは、
・商談案件はすべて記録に残すべし!
・商談内容は、詳細に記録するべし!
残念な営業マンが行っている案件管理 ~その② お客様からの連絡を待っている~
商談において、お客様から、「一度考えてまた連絡します。」と言われることがありますよね。このとき、多くの営業マンが次のように返答します。「わかりました!またご連絡お待ちしていますね!」
…私はいつも疑問に思います。それは、
「お客様はいったい何を考えるのだろうか?」
「お客様はいつ連絡をしてくれるのだろうか?」
「お客様が連絡をくれるのは良いが、何について連絡をしてくださるのだろうか?」
そもそも、案件フォローというのは、お客様からのアクションを待つのではなく、「こちらからアクションを起こすこと」をいいます。しかし、多くの営業マンが、お客様からの連絡待ちの状況にも関わらず、「この案件もフォロー中です。」と、仰るのです。ただ待っているだけなのに、何をフォローしているのだろうか?と、疑問に思いませんか?
デキる営業マンが行っている案件管理 ~その② 次のフォローアクションを決めている~
『デキる営業マン』は、決してお客様からの連絡を待ちません。商談において即決ができない場合は、必ず自らが次に連絡するタイミングを、「お客様と事前に合意」しています。ポイントは、商談時の商談の終わらせ方にあります。
商談において、お客様から、「一度考えてまた連絡します。」と仮に言われた場合、デキる営業マンはお客様に次のように質問し、次回の連絡するタイミングをお客様と合意します。
「ちなみに、現在お車のご購入に際して、気になられている点はどういったことでしょうか?」
「その点が解決した場合はご購入ということでよろしいでしょうか?」
「最終的にいつ頃ご判断できそうですか?」
「かしこまりました。それでは、私も××が解決できる方法を一度考えて再度ご提案をさせていただきますので、〇月〇日の〇時頃に、私からお電話をさせていただきたいのですがよろしいでしょうか?」
ここでのポイントは、
・お客様が何を検討し、いつ結論を出すのかを把握すべし!
・こちらから連絡する日時と理由を事前に合意すべし!
以上、ご紹介した4つのポイント、是非お試しいただければと思います。
カーリンク事業部長/シニアコンサルタント 長尾 剛典 Nagao Takenori
入社後、直営店でキャリアを積み上げ、出張買取業務、加盟店への出向支援業務等、多くの現場経験に積み、FC事業部に配属となる。委託販売、買取、小売りの最新のノウハウを保有し、業界情報や仕組みにも精通しており、成果創出への執着心は極めて高い。担当店舗での成果創出スピードは非常に速く、担当した加盟企業オーナー、スタッフからも高い評価を受けている。
★仕事のモットー 「全体を俯瞰し、物事を本質から捉える」