【堀越勝格の経営ノート】啐啄同時(そったくどうじ)
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【堀越勝格の経営ノート】啐啄同時(そったくどうじ)
「啐啄同時」という言葉、ご存知の方も多くおられるかと存じます。
「啐(そつ)」は、鳥のヒナが卵の殻を破って出てこようとするとき、ヒナが卵の内側から声を出してその合図をすることを指し、「啄(たく)」は、親鳥が卵の殻をつついてヒナが出てくるのを助けることを意味するそうです。
ヒナが生まれるには、卵がしっかり温められ、やがてヒナに育って出てこられるようになったタイミングと、親鳥がつつくタイミングが完全に一致しなければなりません。これを「啐啄同時」と言います。
もし、ヒナが育っているのに合図をしなければいつまでたってもつついてもらえませんし、育っていないのに親鳥がつつくと卵は割れてしまいます。
転じて、例えば人に何かを教えたいと思ったとき、相手が「教えてほしい」と思っていなければいくら教えても身につかない、「教えてほしい」と思ったときこそそのタイミングであり効果的な指導につながる、という人材育成の格言としての意味を持っています。
人は、自分で体感して初めてことの重要性に気付く、ということはよくあります。例えば、「◯◯さんはもっと管理者としての自覚をもって行動してほしい」と思い指導してもなかなか効果がない、と悩むことがあります。しかし、本人が現状に問題を感じていなければ自覚ある行動にはつながらず、指導しても素直に聞き入れることができないかもしれません。
しかし、例えば部下から指摘を受けたりして本人が「問題だ」と感じれば、自覚が芽生え、素直に指導を受け入れる、といったことはよくあります。そのときこそが「タイミング」だと言えます。
相手が「指導を受けたい」を思える状態をつくる、あるいは、そういう状態になるまで待つことが効果的な人材育成につながるのだと思うのです。そう考えると、あえて困難な業務を与えることや、あえて失敗させることも、ときには必要になるかもしれませんね。
「啐啄同時」とても示唆に富んだ言葉ですね。
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