【小阪裕司コラム第139話】「良い関係」を築くには
【小阪裕司コラム第139話】「良い関係」を築くには
前回、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある住宅・リフォーム会社の話をしたが、今回はまた別の住宅・リフォーム会社からの報告をご紹介しよう。
同社の昨年業績は、売上前年比128%、前々年比115%とすることができたというが、報告をくれた同社会長はその背景をこう語る。
「弊社スタッフが受注に対してのマーケティングを頑張ったことはもちろんですが、ウッドショックや各種製品の納期遅れと価格の高騰等で厳しい状況だと世間で言われる中で、多少の影響はありましたが工事の遅れでお客様へのお引渡しが遅れた事例はほとんど(全く?)有りませんでした」。
そこで彼は、なぜ影響が少ないのかを考えた。
「ここに一定量の木材があるとします。それを複数社のどこに納入するか判断する場合、常日頃から良い関係の会社に・・・。と思うのではないかと!『良い関係』を見える化するのは難しいと思いますが、おそらくこんなことが影響しているのではないかと思いあたることを列記してみました」。
そして、報告書には同社が普段からステークホルダーに行っている様々なことが列挙されていた。
その一部をそのまま紹介すると、
○仕事に関わっている会社さんへの支払いは、全て現金
○業者さん方にニュースレターを、ほぼ毎月10年以上お届けしている
○業者さんに、社長と会長からのお礼等のメッセージを、毎月10年以上FAXでお届けしている
○職人さんや業者さんと参加者30~70名程度の勉強会を、ほぼ毎月10年くらい続けてきた
○ディスカッション等を取り入れた参加型の120~180名参加の顧客満足研修兼安全大会を、毎年1~2回、10年くらい続けてきた
○職人さん方等への利益還元
とある。
ちなみに6番目のものは、いろいろなお店で使える「ありがとうチケット」という一人当たり2,000円分のギフトチケットで、約400名の職人さんたちに、決算状況に応じてプレゼントしているものだ。
良い関係――これは、これからの商売で重要なキーワードになろう。
そしてそれは、単に何かをプレゼントするだけでなく、同社の長年の取り組みのように、常にコミュニケーションを図り、ねぎらい、ときに共に学ぶ中で育っていくものだ。
この差がまた、これからの業績の差となってくるのである。
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