【メンテナンスショップレポート㉖】車販に求められる『伴走型営業』

【メンテナンスショップレポート㉖】車販に求められる『伴走型営業』

カテゴリ:整備収益増大, 關友信の車販取り組みのための基礎工事

【メンテナンスショップレポート㉖】車販に求められる『伴走型営業』

 少し前の話になるが、我が家の冷蔵庫が故障した。仕事を終えて帰宅し、冷えたビールを飲もうと思ったら全く冷えていない。それどころか冷凍庫の食品もすべて溶けていて、水浸しになっていた。すでに購入から十数年が経つ年季が入ったものだったため、家内と相談し買い替えることにした。

 さて、いざ購入しようとするとなかなか難しい。ついさっきまで冷蔵庫の買い替えなど考えてもいなかったので、何が自分に合うか情報収集からスタートとなる。のんびりはしていられない。

 インターネットで調べてみると、庫内の容量、冷凍室や野菜室の位置のほか、扉の開き方も右開きや左開き、観音開きなどいろいろあるようだ。消費電力や自動製氷機のスペックなども気になるが、作り置きや冷凍庫のストックが多い我が家にどのメーカーのどの機種がぴったりなのかを知りたいと思い、色々調べるも、ネット検索では結論を出すことができなかった。そして翌日に大手量販店で現物を見ながら、店員さんからアドバイスを貰ってそこで買おうということになった。

 残念ながら、量販店の店員さんの対応は期待していたものではなかった。

 入店後、家電売り場から冷蔵庫コーナーを見つけ出し、店員さんに声をかけると、開口一番、「決まった機種があればお伝えください。どこよりも安くしますよ。」と声を掛けられた。まだ機種が決まっていないことを伝えると、各メーカーの代表機種の容量や機能の特徴を説明いただいた。この店員さんの推しは、自動製氷機能に優れるメーカーのものだった。少し検討する旨を伝えると、「機種が決ったら、また来店ください。どこよりも安くします。」とのこと。

 仕方なく別の量販店へ出向くこととする。しかし、こちらのお店でも、自分にあった冷蔵庫は提案いただけなかった。特売のとあるメーカーの機種を強烈に勧められた。驚いたことに、どちらの店舗でも、私から説明するまで、家族構成やキッチンのスペース、自炊の頻度など、パーソナルな質問をしていただける店員さんはいなかったのだ。

 結局のところ、各店舗にあった展示品を必死に見比べ、自力で結論を出し、翌日配達のネットで購入するに至った。

 皆様はこの私の実例を読まれて、どのようにお感じになるだろうか。家電に限らず自動車においても、インターネットで情報があふれている現在、営業マンに求められるスキルは大きく変化している。

 例えば、以前は性能や燃費、乗車定員にグレードなどを同じクラスのライバル車と比較しながら上手に説明することが営業スキルとして求められた。ただ、インターネットの普及によりそれは一変、車購入希望客の多くは店舗を訪れた時点で対象車の詳細は調べあげており基本情報はすでに把握済みなのである。

 では何を求めているのか?それは「自分や家族にあっているのか?」「ライフスタイルにあっているのか?」といった点で、それに伴い営業マンに求められるスキルも顧客とその生活に沿った提案型に変化しているのである。これからの時代、商談力=お客様の情報収集力である。購入後にお客様が後悔しない選択を、共に考え提案できる伴走型の営業を行えることが、生涯顧客の獲得には絶対に必要だ。

關友信

常務取締役 關 友信 Seki Tomonobu

損害保険会社の営業社員から独立しプロ代理店を経営、その後、自動車販売店での企業を目指し、直営店に入社する。販売店の現場で買取査定や販売業務を経験し、直営店の店長やエリア統括マネージャーとして活躍する。2006年に愛車広場カーリンクのチェーン展開を開始したのと同時に、カーリンク基礎研修の開発に着手、カーリンクチェーンの研修チームを統括する。その後も直営店の出張査定センターのマネジメントやディーラーコンサルティングなど、幅広く様々な仕事を経験、2014年からはCaSSの会員制度を立ち上げ、会員向けのサービスや企画を開発。

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