【小阪裕司コラム第101話】「レストランの新たな道が確信に変わった」

【小阪裕司コラム第101話】「レストランの新たな道が確信に変わった」

カテゴリ:小阪裕司の「人の心と行動の科学」で商売を学ぶ

【小阪裕司コラム第101話】「レストランの新たな道が確信に変わった」

今日も前回に引き続き、コロナ禍で奮闘する、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のあるレストランからのご報告を紹介しよう。前回とはまた別の店だ。

今回、同店からいただいた報告のタイトルは、「顧客が見える安心感が愉しいレストランへの道」。

その書き出しにはこうある。「今回は不安が希望へと変容した瞬間のお話です」。
2月の緊急事態宣言延長下でのこと。2月14日のバレンタインデーに、同店は、
ごく限定された顧客のみを対象にした企画を行った。
内容は「春のパン祭り」というものだ。

それは告知によると、「オープン以来初めて、私が早朝からパンを焼きまくる企画」。
「この企画はレストランオープン以来の最大の危機を乗り越える為に、そして今後のレストランを存続する為のチャレンジとなります」。

そして告知の終わりには、「このお手紙そしてお知らせは、限られた方のみのシークレット企画です。混雑した場合は入場制限をします。必ずこのお手紙を当日お持ちください!」とあった。

しかしこの企画、実行することを決めたのは直前。
顧客に知らせたのは6日前の2月8日。
店主はさすがに、こんなぎりぎりの告知では来ないよな、と思ってもいた。
そもそも自店の先行きを占う意味もあっての今回の企画。
内心不安だらけだった。
しかし仕込みをしていた前日、顧客から一本の電話が。

その方は電話口で「ワクワクして眠れないんだけど~」とおっしゃり、この言葉に力を得て一層奮起。
心を込めひたすら粉を練り(すべて手ごね)、朝までパンを焼き続けた。
そして午前11時の開店。開店前からすでに多くのお客さんが来店。

ソーシャルディスタンスを取っていただきながら、入場制限もし、 開店後1時間で商品はすべて完売。

告知をお送りした顧客の実に65%が来店し、 当日どうしても来られないなど連絡をいただいた方も含めると、 実に80%以上の顧客が動いてくれた結果となった。

新著『「顧客消滅」時代のマーケティング』でもメインコンセプトとして語っている「顧客ストック型の経営」。今回のことでその真髄を感じたと店主は言う。また今回、

「これを待ってたんだ!」
「次はいつやるの?」
「だからこの店好きなんだよ~」

という顧客の多くの声を直に聞き、「顧客に見守られていることを実感した」とも。
報告には他にも多くの出来事と気づきが綴られていたが、それは次のような言葉で締められていた。「レストランの新たな道が確信に変容しました」。

小阪裕司

小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)

山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。

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