【小阪裕司コラム第99話】古い商品は本当に古い商品か?

【小阪裕司コラム第99話】古い商品は本当に古い商品か?

カテゴリ:小阪裕司の「人の心と行動の科学」で商売を学ぶ

【小阪裕司コラム第99話】古い商品は本当に古い商品か?


今日は、古い商品(入荷から長期滞留している商品)を、いかに新入荷品かのようにして売るかという実践のお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のあるリサイクルショップの方からのご報告だ。

スタッフもお客さんも商品が滞留してくると、その商品に対しての興味がなくなってきてしまう。
しかし、だからといってその商品をそのままにしておいてよいわけではなく、販売して売場の品物を回転させていくのが自分たちの仕事。
そういう点から実践に至ったと彼。

今回手を加えたのは音響家電コーナー。
基本的には人気の高いコーナーだが、すぐ売れてしまうものも多数ある中、 なかなか売れず1年以上滞留してしまう品物もある現状。

動作には問題もないし、付属品もある。 人気もないことはなく、かといって価格が高すぎるのでもない。だけど売れない。

そこであることを行うと、「お客様の注目は集まり、お問い合わせや質問なども増え」、 結果的に「購入されて、滞留終了」となったとのことだが、何を行ったのか。

実は行ったことはシンプルだ。それは「清掃」と「整理」。
本人はこう語る。
「音響コーナーの棚の中で、時間が経ちごちゃごちゃしてる中に乱雑に置かれてるような状態になってました。お客様も含めて、人は基本的に綺麗な物が好き。高級感のある物が好きです。このアンプも含めて、綺麗な清潔感や高級感も薄れて売場に残ってるものが複数あったので、簡単な再清掃後に、音響コーナーとしてショーケースを使い、まとめて展示するように展示方法を変えました」。

この話には前段がある。 それは最近実践会の中で、「古い商品は、お客さんにとって本当に古い商品か?」ということへの疑問と答え、それについてある事例が分かち合われたことだ。

その事例でも、入荷して売れず時が経ち、ともすれば「古い売れ残った商品」と思いがちなところ、視点を変え、あたかも新入荷品のように扱って売り直したところ、売れるという結果が出た。

それを参考に最近当会では、同様の取り組みが盛んだ。
考えてみれば、「古い商品」と思っているのは売っている側だけで、お客さんの側から見れば、「売っている」と知ったときが「新入荷品」だ。
このことは常に頭に置いておきたいものである。

小阪裕司

小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)

山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。

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