【柴崎一義の 整備業の実態を読み解こう!】第二話 「整備工場におけるコンプライアンス」
カテゴリ:整備収益増大
【柴崎一義の 整備業の実態を読み解こう!】第二話 「整備工場におけるコンプライアンス」
「電子制御装置整備認証(特定整備)の取得について」
新型コロナウイルスが猛威を振るい、世界中で感染者数が急増して、東京オリンピック、パラリンピックの1年延期が決定されたちょうどそのころ、2020年4月1日に電子制御装置整備認証制度が正式に施行されました。
それから1年半後となる今年10月1日、いよいよ道路運送車両法の保安基準で定められた点検基準が新基準(*)へと移行されました。
*「OBD診断結果」を追加し、1年ごとの点検を義務付ける内容
これを受け、特定整備認証を未取得で、昨年4月の法改正以前に機能調整作業(エーミング)を事業として実施したことがない指定工場では、電子制御装置整備に該当する装置を備えている自動車については、保安基準適合証の交付ができなくなります。
この法改正は新型コロナウイルスの感染拡大の前から公示されていましたので、スピード取得を目指して活動し、すでに新認証資格を取得済みの整備工場もありますが、極めて少数派です。2021年8月時点の特定整備認証の取得状況は約1万9,000件となっており、多くの整備工場がまだどうしたらよいか迷っておられるのではないでしょうか。
情報不足で、よく分からないから様子を見ているという経営者様、整備業界が廃れるとユーザーが困るのだから、きっと救済策があるはずと楽観視される経営者様も多いと聞きます。
もし、そのように考えられているようであれば、ぜひ本腰を入れていただきたいと思います。
消費者向けのTVCMから誤解を生じやすかった表現である「自動運転」という言葉が消え、先進運転支援システム(ADAS)の安全性をPRする内容が増えてきた一方で、国土交通省が示す「自動運転のレベル分け」でいうところの「レベル3」を取得した、ホンダ レジェンドが発売されました。ご承知のとおり5段階レベルの3以上が自動運行装置付き(≒自動運転車)と定義されていますので、一定の条件下に限られるとはいえ「システムによる監視」のもとで自動車が運行されることになります。
このレベル3以上の整備をするための認証資格(限定なし電子制御装置整備認証資格)は、さらに高い要件を満たす必要があります。このように多岐にわたるシステムが、自動車メーカー各社の独自技術で作られ、それらを搭載した車が日本中を走り出す。いよいよ特定整備認証取得に関しては待ったなしです。「様子を見ている」などという余裕はないのではないでしょうか。
いよいよ新点検基準への移行のタイミングとなったわけですが、まだまだ取得に向けての取り組みは間に合いま
す。アンテナを張り巡らせて情報を集め、勉強して社内体制を整えていかなくてはなりません。
自動車販売整備業はコロナ禍でも社会インフラとみなされ営業自粛の対象になりませんでした。そのことに気を緩めることなく、今できることに向き合い、地域のお客様の安心、安全なカーライフを支える企業であり続けましょう!
コンサルタント 柴崎一義 Shibata Kazuyoshi
自動車メーカー直営ディーラーの工場長を経て、株式会社ロータス(ロータスクラブ運営本部)に入社。 経営教育事業部 部長 兼 事業開発部 部長を歴任。加盟企業の経営者向け、社員向け研修企画・施策立案に従事。整備業界の多くの経営者から絶大な信頼を得ている。 レンタカーアドバイザー、職業訓練指導員(自動車整備)、自動車検査員、自動車整備士など業界関連の多数の資格も保有し、業界情報に精通。 2020年に定年退職。より現場に近いステージで業界に貢献したいとの想いから、2021年よりチームエルに入社。
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