【柴崎一義の 整備業の実態を読み解こう!】第三話 「自動車整備という仕事とは?」
カテゴリ:整備収益増大
【柴崎一義の 整備業の実態を読み解こう!】第三話 「自動車整備という仕事とは?」
このコラムでは、目の前で当たり前になっていることに改めて目を向け、これから起こるであろうことにしっかり準備ができるよう、自動車業界の様々なニュースについてご一緒に考えてみたいと思います。
どうかお付き合いください。
皆さんの会社の整備部門では、メカニック不足はありませんでしょうか?
若者のクルマ離れと言われて久しいですが、そもそもクルマに興味がないのですから、当然それを職業にしようと思う若者も減り、まして「3K」のイメージも根強い自動車整備士なんて、親や親戚を巻き込んでの大反対・・。
ここまで言うのは少々大げさでしょうか。
最近、よく話題になる整備士の退職や離職は、整備工場の許認可に直結する問題なのに、このままでは死活問題になりかねません。
実は私、高校生時代のガソリンスタンドでのアルバイトをきっかけに、親の期待を軽~く受け流して、自動車整備専門学校を受験した経験者です。普通科高校の3年生になるまで大学受験だと思っていたはずなので、いまにして思えばよく認めてくれたものです。
その時の私の決意の一言は「俺の生きてる間、自動車業界は安泰だから!」でした。
そんな安直な言葉をよく言えたものです。浅はかだったと痛感しているのでよく覚えています。
そして卒業して整備士資格を持って入社したカーディーラーでの経験は、バブル期やリーマンショックに翻弄されたとは言え、自動車業界そのものに危機感はありませんでした。
それが今では、クルマの構造、機能、メンテナンスは大きく様変わりし、ガソリンやオイルの匂いも汚れもない「走る通信機器」のメンテナンスが主流になろうとしています。このことに異存がある方は少ないと思いますが、そこで厄介なのが8,000万台を超える国内の自動車が、徐々に新型車に置き換わっていくという点です。併せて関係する法律も同様に、過渡期には猶予期間などを設けながら規則、省令が施行されていきます。
現場で毎日、仕事をつづけながらこの点に注目し、準備や対処を怠らないでいるのは困難です。まして年齢を重ねたベテラン整備士の方であればなおさらでしょう。そこで初めから最新の自動車を学んでいる、自動車大学校や専門学校の新卒者が引く手あまたの状況になります。現実的には、自動車大学校から新卒の1級整備士を小規模の専業整備工場が採用できる確率は極めて少ないと言わざるを得ません。
そこでどうすれば良いのかと考えても、なかなか妙案はありません。
できそうもないことを考えても仕方ないので、できそうなことを考えてみると幾つか思い当たります。
対策①
在籍中の社員さん達にとって働き続けたくなる会社創りを常に心掛ける。
対策②
自社の待遇を他社より圧倒的に良くする。併せて将来像を描けるキャリアプランを用意する。(入社から将来にわたる自身の生活イメージの見える化)
対策①と②は相いれない部分があるかも知れません。例えば新卒の1級整備士の報酬がベテラン3級整備士の報酬を上回ってしまうとか、故障診断機による診断と経験則に基づく診断の作業時間差や請求金額差が発生することもあるかもしれません。そうなるとお客様にもご迷惑が及んでしまいますので、上手くバランスを取りながら進め、世代を問わず働き続けたい会社にすることが、結果的に新規採用が採りやすい会社になるのだと考えています。
更に育成という観点で考えると、高校からの新卒採用者の育成プランとキャリアプランも積極的に準備すべきでしょう。高卒者を積極的に採用している会社の担当者によると、進学する割合が多い中、就職を選ぶ生徒は「独り立ちしたいという想いが強く、頑張ってくれる」のだそうです。
蛇足ですが、私の新人時代の工場長は「部品交換屋になるな!整備士になれ!」と言っていましたが、自動運転化が進みつつある現代では、メーカー(既存の自動車メーカーとは限らないかも知れません)が指定した「使用時間」「稼働時間」を経過した部品の交換を、如何に正確に早くでき
かで整備士の能力が試されるのかもしれません。
これは古くからの航空機の定期整備の考え方に近いものですが、万一の事故の際の責任分担を考えるとありそうな気がします。(続報があれば必ず改めて寄稿します)
「TCS=トータルカーライフサポート」を実践するには、社内の力を結集する必要があります。これからもそんな会社創りを目指して頑張りましょう!
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