【柴崎一義の 整備業の実態を読み解こう!】第四話 「整備士さんのモチベーションアップ!!」

【柴崎一義の 整備業の実態を読み解こう!】第四話 「整備士さんのモチベーションアップ!!」

カテゴリ:整備収益増大

【柴崎一義の 整備業の実態を読み解こう!】第四話 「整備士さんのモチベーションアップ!!」

このコラムでは、目の前で当たり前になっていることに改めて目を向け、これから起こるであろうことにしっかり準備ができるよう、自動車業界の様々なニュースについてご一緒に考えてみたいと思います。どうかお付き合いください。

今回のテーマは既に長いこと課題として取り上げられてきたあのテーマです。

でも私には一向に良くなってきたという実感が湧かないのです。

私が新人メカニックとして働き始めたころ、近隣の整備工場さんにお伺いする機会があると、まず目についたのが油シミで汚れた床、敷地の境界線付近に干された作業着(ツナギ)や軍手、使っているのかいないのか分からない工具類、事故車がドーンと停まっているいる駐車場など・・・

「昔の整備工場はそんなだったな~」と懐かしんで笑い話で済ませて大丈夫でしょうか?

40年前なら「腕が良ければ問題ない」と片付けられたのかも知れませんが、もし今でもそれに近い整備工場があるとすれば本当に心配です。

何から手を付けるかは個々の状況によると思いますが、私の経験上、最も現場の士気が上がるのは「工具セット」だと思います。

その理由はメカニックの入社時に、会社が工具セットを貸与している整備工場が少ないからです。現場では使いまわした古いハンドツールをかき集めて、新人用にセットしているのを見たこともあります。例え整備士見習いや外国人実習生であってもこれでは士気は上がりません。決して高級工具を買い揃える必要はないと思いますが、プロ仕様の最低限の工具セットは貸与してあげたいところです。

その上で紛失や個人の好みの追加分は自己負担とすれば、現場のモチベーションは大きく上がり、自分の工具に対する意識が高まることは間違いありません。

ここまで読まれて「なるほどな~」とお感じになっても決心できない理由もお察しします。

「今から全員分を用意すると幾ら掛かるだろう・・・」「新人に貸与したらベテランから文句が出るし・・・」「自己所有の工具を持ち込みで使っている人はどうしよう・・・」などなど、考えれば考えるほど何もできなくなります。

あまり難しく考えずにまずやってみてはいかがでしょう?

例えば「入社年度の古い人から毎年2名に貸与」「持ち込み工具を使用中の方は、希望を聞いて貸与or貸与しない」「貸与を受けた人の古い工具は廃棄する(または一定期間、一括保管の後、廃棄)」などを決めるだけで工場内の士気は高まっていきます。

昨今の車離れ、更に整備士志向の若者減少などを考えれば、この程度で士気が高まるならむしろ安い投資ではないでしょうか?

この先、低圧電気特別講習受講者でも触れない、800V~900Vで駆動する電気自動車の市販が予定されていたり、整備士資格制度の見直しも検討されている中、車検制度をはじめ交通インフラを守る要ともいえる自動車整備士の待遇改善の一助として、ご検討いただく価値はあるのではないでしょうか。

コンサルタント 柴崎一義 Shibata Kazuyoshi

コンサルタント 柴崎一義 Shibata Kazuyoshi

自動車メーカー直営ディーラーの工場長を経て、株式会社ロータス(ロータスクラブ運営本部)に入社。 経営教育事業部 部長 兼 事業開発部 部長を歴任。加盟企業の経営者向け、社員向け研修企画・施策立案に従事。整備業界の多くの経営者から絶大な信頼を得ている。 レンタカーアドバイザー、職業訓練指導員(自動車整備)、自動車検査員、自動車整備士など業界関連の多数の資格も保有し、業界情報に精通。 2020年に定年退職。より現場に近いステージで業界に貢献したいとの想いから、2021年よりチームエルに入社。

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