【メンテナンスショップレポート⑥】「クルマ売ってください」という切り口

【メンテナンスショップレポート⑥】「クルマ売ってください」という切り口

カテゴリ:整備収益増大

【メンテナンスショップレポート⑥】「クルマ売ってください」という切り口

今回は、とある整備工場の事例を紹介したい。こちらの経営者様は、今後の業界で勝ち残っていくために、これまでの車検や整備だけでなく、車販を強化しなければ顧客が減少してしまうという経営危機を感じていた。

そこで数年前から、店頭に10台ほどの中古車を展示、プライスボードやPOPも取り付けて販売をアピールし始めた。店内にも新車カタログやポスターなどの演出をし、来店される顧客へのアピールに力を入れた。

しかし、「車を購入したい」というお客様は現れず、なかなか成果にはつながらない。焦りを感じ始めた社長は、整備で入庫する仲の良いお客様に声をかけ始めた。「うちでもクルマ買えるんだよ」。

しかし、お客様からは「そうか、考えとくよ…」といった遠まわしなお断りばかり…。

さて、この要因は何だろうか。こちらの整備工場は、車検や整備の評判は上々なのだが、「車検整備のお店」の印象が強すぎて、顧客には車販の認知がなかった。また、車はディーラーや販売店で買うものという意識が強い顧客にとって、「クルマ買ってください」というアプローチは、どんなに仲が良かったとしても、売り込み感が強く抵抗がある。そのため、新車のカタログや中古車を展示する程度では、車販案件を発掘することは難しかったのである。

そこで、弊社のコンサルタントが社長にお勧めしたのは、「クルマ売ってください」という買取のご案内だった。

まずは、オイル交換や車検の作業が終わり、出庫のタイミングで、従来の「クルマ売ってますよ」という営業ではなく、「高く買取しますので、乗換えの際はぜひ査定だけでもさせてください」と声をかけた。特に付き合いの長い顧客には、「〇〇さんのお車はうちの整備履歴がしっかり残っているので、高く買い取れるんですよ」と付け加えた。また、車検半年前の顧客を対象に「買取DM」を発送。代替の意向がある顧客や走行距離の多い車には、DM送付だけでなく、車検の早期予約のご案内を兼ねて、電話のアプローチを行った。

この活動が想像以上の成果を生んだ。「ちょうど乗換えを考えてたんだけど、今の車いくらになる?」「ディーラーで新車の購入を考えてたんだけど、下取が安いんだよね」こんな反応が相次ぎ、買取査定の予約が、どんどん増えていった。もちろん、来店の際には、今の車の査定や買取の商談だけでなく、次の車の提案を行い、新車や中古車の販売が増えたのは言うまでもない。いろいろと策を講じながらも、乗換えの相談などは一切なく販売に苦戦していたこの整備工場にとって、今回の出来事は衝撃的だった。

この事例で重要なのは、車の売却先を決めているユーザーはほとんどいないということ。新車購入はディーラー、中古車は販売店、整備は整備工場、カー用品は用品店でというように、多くのユーザーは、用途に応じて利用するお店を選んでいるが、買取専門店は一般的ではない。「クルマ売ってください」というアプローチは、既に関係性のできている整備工場であれば敷居が低く、顧客の記憶に残り、乗換えのタイミングで声がかかることとなる。

車販の案件発掘に悩む整備工場様には、ぜひお試しいただきたい。

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