下取商談の成功の鍵は「希望金額のヒアリング」
(※このコラムは、2015年7・8月のマンスリーレポートに掲載されたものです。)
下取の収益を倍増させるポイント
昨年より全国各地で「下取収益倍増研修」を開催し、多数の会員様にご参加いただいており、受講された皆様から、手応えや喜びの声をお聞きするようになってきました。
この研修では、仕入れた下取車の売却利益を最大化するために、「下取車の販路選定の視点」や「オークションの出品テクニック」に加え、下取車を仕入れる際に「適正な価格で仕入れる商談」を身に付けていただいています。
研修冒頭で、各社の現状の課題を確認すると、多くの方が、「下取車を適正な金額で仕入れること」に苦手意識を持っていることが分かります。
「下取車の金額を決める際に、どうしても金額交渉に負けて高く取ってしまう。」「安い金額を伝えると、お客様に足もとを見てると思われてないか不安で怖い。」
しかし実は、この下取商談の改善こそが、下取車の収益獲得の第一歩であり、意識変革だけで大きく成果創出できるポイントなのです。
下取商談の鍵は、「希望金額のヒアリング」にあり
ある整備業の社長の事例をもとに、「希望金額のヒアリング」の重要性をお伝えします。
事例
古くからお付き合いのある年配のお客様から、車のご購入の相談をいただきました。
「生涯最後の車になるかもしれないから良い車を探してほしい」ということで、奮発してクラウンをご購入いただくことになりました。
次の車はすんなり決まったのですが、実は社長が気がかりなのは、今お乗りの車、ヴェロッサの下取でした。このヴェロッサも、以前に自分が販売した車ですが、人気がなく、オークションでもほとんど金額がつきません。
しかし、お客様が毎週手洗いで洗車をするほど大切にしていることを知っていたため、「おれの車はいくらで下取ってくれるんだ?」と聞かれ、「金額がつかない」と伝えなくてはならないことが、怖くてたまりませんでした。
ついに、そのときが来ました。クラウンの商談が終わりかけたとき、お客様から「おれの車はいくらになるんだい?」という質問がありました。唐突に聞かれ、つい頭が真っ白になって、「15万円で買わせていただきます…。」と口走ってしまいました。
自分でも、なぜそんな金額を口走ってしまったか分かりませんでしたが、後悔したのは、15万円と伝えてしまったことではなく、そのお客様の反応でした。
金額を聞いたお客様の反応、「え?金額つくんだ。もう古いからゼロだと思ってたよ。」と拍子抜けするものだったのです。
もうお分かりですね。このお客様に、事前に希望金額を聞いてさえいれば、おそらく「たぶん金額はつかないだろうから、少しでもついたらうれしいよ。」とおっしゃったに違いありません。15万円出さなくても、お客様は喜んでくれたはずです。
お客様に喜んでいただきながら、適正な金額で仕入れるためには、希望金額を聞き出し、その希望金額を叶えてあげる必要があるのです。
下取収益倍増研修
この研修では、
- 希望金額の上手な聞き出し方やタイミング
- 希望金額の適正化の手法
- 相場観の有無によるケーススタディなど
を学んでいただき、下取車の適正金額での仕入を目指していただいております。
受講いただいた方の声
研修を受講いただいた方々には、左記のように多くの手応えを感じている声を頂戴しています。
- これまで、下取車のオークション台粗利が5万円だったのが、10万円以上になった。
- 下取車が適正金で仕入れられるようになり、直販にもスピーディーにつなげられるようになった。下取のN-BOXが、わずか数日で小売りできた。
- 希望金額の聞き出しにより、下取車の金額提示が怖くなくなった。他のスタッフにも徹底させるために、次の研修に参加させたい。
最後に
今後も下取収益倍増研修は、会員様の車販収益改善のファーストステップとなるべく、全国各地で開催いたします。全ての研修の中でも、今回ご紹介させていただいた「下取商談の改善」は、研修受講後、すぐに取り組んでいただけるものですので、翌日から成果が出ることも珍しくありません。
車販強化を目指す整備業の皆様、台粗利に課題のある営業職の皆様には、是非この下取収益倍増研修を受講いただきたいと思います。研修会場でお会いしましょう。
小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)
山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。