店舗ビジネスで成果を出す!SNS活用法(前編)
(※このコラムは、2017年3月のマンスリーレポートに掲載されたものです。)
自動車販売店や整備工場でも、集客や販促にSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用する企業が増えてきました。
このコラムをご覧になっている方の中にも、会社や店舗のFacebookページを作成している方も多いのではないでしょうか。
近年、Facebookやツイッターなど、SNSの利用者数は大幅に増加しており、日本でもすでに6,000万人以上が日常的にSNSを利用しています。
そのため、集客や広告配信など、ビジネスでSNSを活用することも、常識と言えるまでになってきました。
しかし、SNSを利用してしっかりと成果を出している会社は、そんなに多くはありません。
そこで、このコラムでは、店舗ビジネスで成果を出すためのSNS活用法について、前後編2本に分けて考えてみたいと思います。
SNSをやる目的は?
さて、「SNSで成果を出す」といったときの、「成果」とは何でしょうか。
SNSに限らず、施策を打ち出す際に重要なのは、「目的を明確にする」ことです。
なんとなく、「流行っているから…」とか、「みんなやっているから…」という理由でSNSを始めても、なかなか成果につながりませんし、継続することも困難です。そのため、「SNSを利用して何をしたいのか」を最初に考える必要があります。
SNSを利用する目的はさまざまです。
販売店であれば、クルマを売る事だったり、集客だったりしますが、マーケティングでは、さらにその目的を鮮明にしなければなりません。
クルマを売るのであれば、リアルに店舗に呼び込むのか、Gooやカーセンサーなどに誘導するのか、自社のHPに誘導するのかなど、動線を考えなくてはなりません。
また、集客を目的にするとしても、誰を呼び込むのか、まだ、一度も来店いただいていない新規客に店舗を知ってもらうのが目的なのか、すでに自社のサービスを利用していただいている既存客の再来店を増やすことが目的なのか、その目的によっても、配信する投稿のコンテンツは違いますし、広告施策も変わってきます。
自動車関連企業に効果的なSNSは?
一口にSNSといっても、様々あります。利用者数順に、LINE、Twitter、Facebook、インスタグラムが代表的ですが、自動車関連企業にとって、効果的に利用できるSNSは、Facebookだと私は考えます。
Facebookの月間アクティブユーザーは2,600万人で、その60%が毎日利用していると言われていますが、利用者の年齢層が比較的高く、車の販売や車検・整備などでターゲットとしたい30~50歳代の利用者数が最も多いこと、匿名性が低く実名で利用することが基本のため利用者を特定しやすいこと、企業用ページがあり広告配信がしやすいことなどが、活用しやすいと考える理由です。
Facebookは、個人ページと企業ページがあり、個人ページでビジネスをすることは可能ですが、ファン数を増やし、有料広告を配信できる企業ページで、会社や店舗のアカウントを作成することが一般的です。
SNSの活用法
では、ここからは、より具体的に、Facebookを中心としたSNSを、車のビジネスに活かしていく方法を考えてみましょう。
よく、中古車販売店のFacebookページで、「〇〇の中古車入庫しました!」といった在庫情報を見ることがありますが、Facebookページの投稿で、直接クルマが売ることは極めて難しいと言えます。
(もちろん、ないとは言いませんが…)
車両の詳細な情報が少ないだけではなく、クルマの購入を検討しておらず関心の少ないユーザーに車の在庫情報が届いても、反応し辛いからです。
SNSでは、直接的な宣伝は嫌がられる傾向にあります。
そのため、SNSのマーケティングでは、直接的な商品の宣伝ではなく、ユーザーが役立つコンテンツを定期的に配信することが有効です。
自動車のアフターマーケット市場では、販売から点検や車検、整備や用品に至るまで、カーライフのすべてを提供することで、一度接点を持ったお客様に、永く自社のお客様でいていただく仕組み、仕掛けを「高いレベル」で構築していくことが必要です。
このTCS(トータルカーライフサポート)において、SNSを活用したマーケティングの成功の秘訣は、顧客との定期的な接点強化にあります。
ターゲットを新規客と既存客に分ける必要はありますが、どちらをターゲットにするにしても、定期的にお客様が知ったら便利なことや安心できる情報を提供し、困ったときや必要な時に頼ってもらえるような存在で居続けることが、SNSを活用することで可能です。
例えば、これからの季節では、「車の花粉症対策してますか?たった2,000円のエアコンフィルターで車内の花粉を減らせます」という投稿や、雨が降り続く梅雨の時期に、「窓ガラスのギラギラ油膜で困っていませんか?こんな方法で簡単に油膜を除去できるんです」という投稿は、ユーザーが知りたい有益な情報です。
雪の降りそうな季節に、「来週から寒気が舞い込みます。スタッドレスの交換は今週末がお勧め」という投稿もお客様にとっては有益な情報でしょう。
ほかにも、ユーザーが好みそうなイベントの情報提供など、日常で発生するユーザーの関心事や困りごとを解決するコンテンツを定期的に発信し、自社の来店につなげていくことがSNSの有効な活用法です。ぜひ、自社の強みを活かした情報発信を考えてみてはいかがでしょうか。
さて、後半になります次回は、新規客の獲得を目的としたFacebook広告の基礎知識や基盤客向けのイベントへのSNSの活用法などに触れていきたいと思います。お楽しみにしてください。
小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)
山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。