新規顧客を獲得するネット販促テクニック(前編)
中古車販売の新規集客に、Goo-netやカーセンサーネットなどのネット販促は、不可欠となっておりますが、
うまく活用できていない店舗も数多くあります。
ネット販促は「掲載すればすぐ売れる」といったものではなく、成果を出すにはテクニックが必要です。
このコラムでは、ネット販促で成果を出すのに必要な3つの要素を解説いたします。
ネット販促で自社の掲載車を効果的に販売するためには、2つの視点を押さえなくてはなりません。
それは、「アクセスを増やす事」と「問い合わせを増やす事」です。
どんなに魅力的なクルマであっても、ネットで検索している人の目に触れなければ意味がありません。
また、クルマが魅力的でも、販売している店舗が魅力的でなかったり、あやしかったりすると、問い合わせをしてもらうことはできないでしょう。
自社のネット販促に課題を感じている場合は、アクセスに課題があるのか、問い合わせの獲得に課題あるのかを分けて、分析する必要があるのです。
今回の新規顧客を獲得するネット販促テクニック〈前編〉では、「アクセスを増やす取り組み」についてお伝えいたします。
ネット販促に必要な「絶対外せない3つのポイント」
それでは、具体的な課題の分析方法を考えていきましょう。
ネット販促の課題分析に必要なポイントは次の3つです。
①価格設定(プライシング)
②掲載画像と画像コメント
③店舗詳細ページ
この中で、アクセス数に関連するのは、①価格設定(プライシング)と②掲載画像です。
アクセス数に課題があるケースでは、まずは、こちらの2つを見直してみる必要があります。
価格設定(プライシング)を見直してアクセスを増やす!
アクセス数を増やすのに、最も重要なのは「価格設定」です。
クルマに限らず、ネットで商品を購入しようとする人の行動は、自分の欲しい商品を検索した後、価格順に並べると言われています。
ネット通販などで買い物をする際、同じように安い順に並べてから閲覧するという方も多いのではないでしょうか。
つまり、価格が高いと売れにくいのは当然ですが、価格が他の掲載車よりも高いことによって、掲載順位が下がり、掲載ページにアクセスされないということになります。
人気車や数多く普及している車種は、同じようなクルマが数えきれないほど掲載されています。
そのため、そのような車両では、数万円、数千円の違いで掲載順位が大きく違ってくることが多々あるのです。
販売する車の金額を決定(プライシング)する際、仕入れの価格から欲しい利益を乗せて価格を決めているのを良く見ますが、ネット販促のプライシングでは、「いくら儲けたいか?」ではなく、「いくらだったら売れるのか?」を第一に考えなくてはなりません。
「売れる金額」を見つける方法!
「売れる金額」を見つけるファーストステップは、ライバル車を見つけることです。
自社車両と競合するライバル車を発見し、そのライバル車を基準に金額を決定します。
ライバル車を探す際は、ユーザー視点を持つことが大切です。
クルマのジャンルによってライバル車の選定方法が変わってきます。
例えば、軽自動車や大衆車など、掲載数が豊富な車両は、ライバル車のいるエリアを絞る必要があります。
ユーザーは、探しているクルマがたくさん掲載されていれば、わざわざ遠方には買いに行かないでしょう。
そのため、ライバル車のエリアは「近隣」となります。また、年式やグレード、色にこだわりがあるユーザーは少ないと思われ、車両の条件面は絞らずに「条件を広げて」ライバル車を設定しなくてはなりません。
一方で、スポーツカーや輸入車など、趣味性が高く、掲載数が少ない車両の場合は、エリアを広げます。
趣味性の高いクルマを探しているユーザーは、近隣に要望に合致するクルマがなければ遠方でも探しますので、ライバル車のエリアは「広域」になります。
また、グレードや年式、色などにこだわりがあるユーザーも多く、より条件を絞って価格設定しなくてはなりません。
とても極端な例ですが、80スープラのプライシングでは、MTとAT、ターボとNAは、同年式の同車種でもライバルとはなりえませんし、ボディカラーも白とシルバーでは相場が大きく違うため、より絞った条件で全国区でライバル車を探す必要があるでしょう。
このような視点でライバル車を設定し、その車両よりも少しでも検索順位で有利になるような価格を設定できると、その掲載車へのアクセス数が大幅に高まります。
もちろん、掲載後は、管理画面でアクセス数の実績を定期的に確認することが不可欠です。
徹底してトップ画像の品質にこだわるべし!
次に、掲載する画像の品質を高めることで、アクセス数と問い合わせ数の両方を増やすことができます。
主にアクセス数に関与するのは、トップ画像の品質です。
ユーザーが条件検索した後の一覧画面では、各掲載車のトップ画像だけが並んでいます。
この中で、自社の掲載車の画像が魅力的でないと、せっかく掲載順位が上位でもクリックされずにスルーされてしまいます。
- トップ画像の写真は、車両が画面いっぱいに大きく映っているか?
- 画像が暗くないか?
- 背景に他の車両が映ってゴチャゴチャしていないか?
などに注意し、撮影する必要があります。
大手の販売店などでは、常設の撮影ブースを用意して本格的に撮影していますが、工場の一角を利用し、床を白く塗り、背景に白いカーテンを張るなどした簡易的な撮影ブースでも、十分に魅力的な撮影が可能です。
低予算でもひと手間を加えることで、大きく成果が変わってきますので、ぜひお試しください。
次回の後編では、「問い合わせを増やす取り組み」についてお伝えいたします。
小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)
山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。