【小阪裕司コラム第317話】「自慢コーナー」を作ろう

【小阪裕司コラム第317話】「自慢コーナー」を作ろう

カテゴリ:小阪裕司の「人の心と行動の科学」で商売を学ぶ

【小阪裕司コラム第317話】「自慢コーナー」を作ろう

 今回は、「自慢コーナー」のお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のある日本茶販売店と喫茶を営む店主からのご報告だ。

 ある日店主が店頭で接客をしていたところ、お客さんから、レジ横に並んでいるトロフィーを見て次の一言があった。「これはなんのトロフィーなんですか?」。それは、店主が利き茶の全国大会で準優勝したときや、東京都大会で優勝したときのものだ。もちろん誇らしいことゆえ並べていたのだが、特に説明などを添えることなく、レジ横に置いているだけだった。実はこれまでもしばしば聞かれていたのだが、そのたびに説明をしていたとのこと。

 そうして説明するとお客さんは「えーっすごい!どこのお茶とかわかるんですか?」と口を揃えて褒めてくれるという。それでも、自慢のように思われたくないという気持ちから、アピールしていなかった。しかし今回お客さんから言われた一言で、これはちゃんと発信しなければいけない、自慢ではなく自社の価値なのだから、と気づいたのである。

 そこでまずはPOP(店頭販促物)を作り、何のトロフィーなのか伝えることにした。受賞時の写真と「こちらのトロフィーは・・・!?利き茶の大会で数々の賞をいただきました!」と書いた素朴なものだが、それを貼り出したところ、早速これがきっかけでお客さんから話しかけられ、会話が弾むようになった。店主は言う。「昔のことだから…とつい控えめにしていましたが、お客様のうれしい反応を見て、これからはもっと自信を持って伝えていこうと思いました」。

 「自慢コーナー」とは、こういう、いただいたトロフィーや賞状などを1箇所に集め、それが何であるかの解説を添えたコーナーのことだ。長年実践会を営んできて思うが、そういう賞を多くいただく方は奥ゆかしい傾向があり、あまり語られることがない。また、当人たちは「当たり前」と思っていることもあり、あえて語られることもない。

 しかし、自分が利用しているお店がそういう技術などを持っていることは、お客さんにとっての価値なのだ。そのことを知ってほしい。だから、お客さんのために自慢してほしいのだ。かくて当会では以前から自慢コーナ」作りが行われており、どの業界でも常にお客さんには喜ばれている。あなたの自慢コーナーは、どんなものになるだろうか?

小阪裕司

小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)

山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。

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