【小阪裕司コラム第123話】画家と漁師は「同じビジネス」!?
【小阪裕司コラム第123話】画家と漁師は「同じビジネス」!?
今日は、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員から寄せられた、画家と漁師の方からのご報告を題材にしたお話。
まずは漁師の方からのご報告から。漁業を営むその方は、海苔や牡蠣の養殖や、加工したものを直接一般消費者に販売する、いわゆる6次産業への取り組みも行っている。最近彼らの活動がテレビに紹介されたことがあり、その中である著名人が彼らの海苔を絶賛。その途端に、注文が殺到した。
が、彼いわく、そういうことは過去に何度もあった。テレビで紹介されるたび注文が殺到し、それはそれで嬉しいし、そのときは売上になるのだが、1か月もすると沈静化し、元に戻ってしまう。以前は、そんなものなんだな、と思っていた。
しかし今回は違った。ワクワク系を知り学んでいることで、その「そのときだけの売上」を「後々の売上」につなげられることが分かっているからだ。
そこで今回そのための手法、新規購入客に対して21日間行うワクワク系の実践手法を使ってみた。結果、その後のリピートも順調、これまでのテレビに取り上げられたときとは「雲泥の差」と本人の言う成果となった。
次に画家の方だが、彼女から報告があったものも、この21日間の実践手法についてだ。こちらは、ある展覧会においてのこと。大勢の作家の作品が展示される中、自分の作品も1点展示されることとなった。そこで、見ていただいた方にこの手法を使った結果、後日3名の方に5点の作品をご購入いただけたとのこと。展覧会には1点しか作品を出していなかったので、5点はまさに「展覧会後」の売上である。 この2つの事例、各々詳細に何を行ったのかはさておき、学びにしたい点は、画家と漁師という、まったく異なる業種で同じことを行い、同じ結果――初めてのお客さんをその後の購入につなげていく――が生まれたという点だ。
業種が異なるので、その例は参考にならない――これはよく聞かれる言葉だ。しかし買う側はすべて“人”であるから、すべて“人の営み”であるという視点で見てみると、共通の点の方が圧倒的に多く、よく似たものであることがわかる。そこで然るべき手を打てば、然るべき結果となる。そういう意味では、画家と漁師は同じビジネスなのである。
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