【小阪裕司コラム第243話】お客さんに売り方を教わる

【小阪裕司コラム第243話】お客さんに売り方を教わる

カテゴリ:小阪裕司の「人の心と行動の科学」で商売を学ぶ

【小阪裕司コラム第243話】お客さんに売り方を教わる

今回は、お客さんとの接点を増やしコミュニケーションを図ると、お客さんが売り方を教えてくれる、というお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある通販会社からのご報告だ。

その報告は、ネット通販で主に調理器具やキッチン用品を販売しているお店から。以前このコラムでお伝えした、お客さんが購入時に使う備考欄を活用してお客さんとコミュニケーションを取っている店だ。その際もお伝えしたが、同店でのお客さんの備考欄記入率は高く、そこには「じゃがいも切るの楽しみ!」といったようなものや挨拶的なもの、応援メッセージやお店に関する高評価など、様々なメッセージが寄せられている。

その中に、こういう書き込みがあった。「さくらんぼ狩りに行きますので、間に合うとうれしいです!」。同店が売っている商品の中に「さくらんぼの種取り器」というものがある。文字通りさくらんぼの種が簡単に取れる便利グッズなのだが、それを購入したこのお客さんのコメントに、店主ははっとした。と言うのも彼には、この調理器具をキッチンや家の中で使うイメージはあったのだが、さくらんぼ狩りに持っていくという発想がなかったからだ。そこでこのコメントを参考に「さくらんぼ狩りに行くならコレを持っていって!美味しく沢山食べられますよ!」という新たなメッセージを加えると、後日この商品を購入された別のお客さんから「さくらんぼ狩りに持って行って大正解でした!」といったメッセージをいただいた。

お客さんはときに、商品の売り手や作り手が思いもよらなかったことにその商品を使うことがある。売り手や作り手にとってはそこに「新たな用途」があり、お客さんにとってはそれが「買う動機」となる。となれば、それを発見することでその商品はより売れるようになるのだが、売り手・作り手にとっては、その発見が難しい。

そこで重要なのは、今回のような日常的な、生のコミュニケーションだ。そういう会話の中にこそ発見は多くあり、まさにお客さんに売り方を教えてもらえる。しかし、この通販店主も言う。かつて備考欄を非表示にしていたのは、お客さんから無理な要望が書き込まれるのを避けるため。それが効率的な受注作業を行うための正しい判断だと思っていたからだと。

再度言うが、お客さんとの生の会話は気づきの宝庫。そういう機会を減らさないようにしたいものである。

小阪裕司

小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)

山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。

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