【チームエルのチーム作り第7回】一人ひとりに合わせた育成方針を!「自分で考えられる」人材を創ろう

【チームエルのチーム作り第7回】一人ひとりに合わせた育成方針を!「自分で考えられる」人材を創ろう

カテゴリ:チームエルのチーム作り

【チームエルのチーム作り第7回】一人ひとりに合わせた育成方針を!「自分で考えられる」人材を創ろう

組織づくりの理想と現実

「うちの社員は言われたことしかやらないんだよねー」
経営者とお話ししていてよく出るテーマ(愚痴?笑)です。

自社の社員が、指示待ちではなく、何事も自分で考えて、どんどん自発的に動き、そして成果を出してくれる。あるいはお客様に喜んでいただける。
社長が方針さえ出せば、それを実現すべく会社全体が動き始める。

社員それぞれが自分で考えて自分で行動する「自考・自行型組織」
やはり、そんな組織を作っていきたいですよね。

「自分で考えさせる」育成ができているか

しかし、人材育成の現場ではそれとは真逆のことが起こっています。

何のためにやるのかという目的を伝えずに
「とりあえず忙しいからこれやっといて」と指示だけ出す。
指示を出した本人も目的が分かっていないので
「社長からの指示だからとりあえずやっといて」との説得力のなさ。
こんなことが繰り返されると、自分で考える力は全く養われないどころか、元から持っている考える力をも低下させてしまいます。

では、自分で考え行動できる人材を育成するためには、どうすればよいか。
例えば、「お客様が来店したときに『嬉しい!』と思ってもらえるようなサービスをしたいんだけど、どんな方法があるか一緒に考えてくれないかな」と、業務の目的を具体的に伝えてその達成のための手段を一緒に「考える」といった指導が必要です。
そうした育成方法の実際を、これからご紹介したいと思います。

“やる気スイッチ”は自発的行動にあり!

自分で考えられる人材を育てることは、社員の定着にもつながります。
それは、自分で考え、行動し、お客様に喜んでもらえることが最高の成功体験になり、もっと頑張りたい、という原動力になるからです。
これは若手社員もベテラン社員も同じですが、育成の方法はそれぞれで違います。

ここでは、「能力」×「やる気」の度合いに応じた、育成方法をご紹介します。
先ほどの「お客様が来店した時に嬉しいと感じられるサービスを考える」という例で考えてみましょう。

「能力」 低 × 「やる気」 高 → 【育成方針:指示型

やる気は大いにあるものの、まだ能力が足りないケースです。
多くの新入社員はここから始まりますが、目的だけを伝えて自分で考えてもらっても、経験が少ないために意見が出ない可能性があります。
よって、「このサービスはどうかな?」などと、具体的な内容を盛込みながら一緒に考える「指示型」の指導が最適
同時に行動管理も行っていきながら、まずは成功体験を積んでもらうことが大切です。

「能力」 中 × 「やる気」 低 → 【育成方針:コーチ型

次は、ある程度経験を積み、能力は高まっているものの、慣れが出て傲慢になり、少しやる気が落ちてくるケースで、若手~中堅社員に多く見られます。
この場合、具体的な指示を出すのではなく、正しい方向に軌道修正し導いてあげて、自ら答えを出したと本人が自負できるようなコーチ型の育成が適切です。
「このような方向性のサービスはお客様が喜んでくれると思うんだけど、具体的にはどんな方法が良いかな?」「~までにまずは自分で考えてみよう」のように、具体的な部分は本人に考えさせることが重要です。

「能力」 高 × 「やる気」 中 → 【育成方針:援助型

仕事の目的や意義を理解でき、ある程度の業務は単独で行えるが、難しい業務となると、意思決定や単独遂行に不安があるケースです。
この場合は、意思決定を本人に任せ、目標達成するまでの過程を援助します。
具体的には、サービスを考え実行することは本人に任せ、進捗報告の際にアドバイスを行い、目標達成への援助を行う援助型の支援をします。

「能力」 高 × 「やる気」 高 → 【育成方針:委任型

このケースに該当するのは、能力も高く、権限を委任することもできる、頼れる社員です。
基本的には、進捗報告のみで、権限を委譲し責任も本人に担ってもらう委任型のスタイルです。

いかがでしょうか。
目的は「自分で考えられる人材を育てること」ですが、個々の能力に見合った育成方法を用いることによって、本人のモチベーションと育成スピードが大きく変わります。

この機会に、それぞれの社員への育成方針を見直してみましょう。
それが、本人の成長と、会社への定着につながります。

成長に応じて変化する育成方針

堀越、岩根が先述した「自分で考えられる人材の育成方法」の考え方を基に、弊社で行われている指導方法と、私の経験をお話いたします。

弊社はコンサルティング会社として、各コンサルタントが数社の顧客を担当しています。
どのような支援をするかは担当のコンサルタントが準備し、実施していきますが、コンサルティングの成果が出せるかは「準備が8割」と言われるように、「準備」を大切にしています。
その準備をする際に、先述の育成方法が重要になります。

私自身、かつて経験が浅く能力もまだまだ不足していたときは、準備の際も具体的な内容を教えてもらい、実施の際も上司同席のもと支援してもらう「指示型」の育成を受けていました。
回数を重ね仕事の進め方を理解していくにつれ、上司の同席頻度が徐々に減り、準備についても、できる限り自分で考えた上で上司からのアドバイスをもらいより良くするという流れになっていきました。

案件によって異なりますが、徐々にコーチ型以降の育成方針に変更されていったということです。

考えて行動し、やりがいを持って働く人材づくり

いずれのフェーズにおいても、思考停止状態でただ「頼る」のではなく、自分で考え、適切に上司や他者のアドバイスを取り入れる進め方を実践していくのがポイントでしょう。
経験を積むにつれ自信を持ってコンサルティングの実務ができるようになると、顧客に喜んでいただいたり感謝されたりしたとき、さらなるやりがいを感じられるようになります。
私自身も、自分の頑張りによって「矢澤さんのお陰で成果が出た、ありがとう!」というお言葉をいただけたときは最高に嬉しく、また頑張ろうと思えます。

個々人の個性や携わる分野などにより育成方針を変えることが重要ですが、根本にあるのは自分で考え行動できるようにするためにどうすれば良いかです。
人材育成によって、成長ややりがいを実感できる好ましい組織作りを実現する際の参考にしていただければ幸いです。

代表取締役社長 堀越勝格 Horikoshi Katsunori

代表取締役 堀越勝格 Horikoshi Katsunori

自動車販売等の経験を経て2002年大手経営コンサルタント会社入社後、カーディーラー、自動車整備業、中古車販売店等、業界企業の経営から現場改善までありとあらゆるテーマの実践的なコンサルティングを展開。 2006年からはカーリンクチェーンのSV(店舗指導部隊)を率い、店舗だけでなく、チェーン全体の生産性改善に向けた戦略的指導をも推進する。 自動車販売の人材育成・営業力強化は勿論、経営戦略の策定支援、製販の組織連携強化、組織活性化、人事評価システムの構築等、多岐に亘るテーマのコンサルティングを行い、クライアントオーナーの信頼に応え続けている。

取締役/シニアコンサルタント 岩根弘和 Iwane Hirokazu

取締役/シニアコンサルタント 岩根弘和 Iwane Hirokazu

大手経営コンサルティング会社入社後、自動車販売店の現場でマネジメント業務を経験。 その後、自動車FCチェーン本部立上げ、コンサルティング実務、部門マネージャー、事業部長に就く。 現在、経営コンサルティング部門の取締役事業部長。

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