【小阪裕司コラム第196話】〇〇しただけで、客数172%の盲点とは2
【小阪裕司コラム第196話】〇〇しただけで、客数172%の盲点とは2
今日は、あることを行ったら客数が伸びた、にじます料理店のお話の続き。人口2万人弱のある地方の町で60年以上も営まれている同店。小さな町ゆえ、店主は、「知名度はあるだろう」と長らく思っていたが、実践会に入会し、ある実例を知り自店はどうかと不安になった。そこで、「自己紹介チラシ」を制作し打ったところ、客数が、前年比、前月比共に大幅に伸びたというものだ。
今回の成果は、そもそも「自店は本当に知られているのだろうか?」という正しい疑問に因るが、作ったチラシの内容も秀逸だった。
そのポイントは作成時に店主が留意した点だ。いただいた報告書にはそれらが列記されていたが、例えば、
・店が「どこにあるのか」「何を売っているところか」をわかりやすく説明する。
・ 「ニジマス」というあまりなじみのない魚と料理について「にじます料理大解説」として詳しく説明する。
これらは、あくまでもこのチラシを「当店を知らない人、聞いたことはあっても訪れたことのない人」向けとして、対象を明確にしているからこその留意点だ。
そういう方々に対しては、まず店の存在とにじます料理とは何かを知らしめる必要がある。
さらに、
・「初めての方におすすめ」の提案をする。
・「料理が夢に出てきて食べたくなった」「家では魚を食べない子どもが一生懸命食べていた」というお客さんのエピソードを紹介し、料理の魅力を伝える。
・「敷居が高くて入りづらい」と言われることがあるので、店内のストリートビューを紹介し、店の中の様子を見られるようにする。
・ 予約は必ずしも必要ない、という説明を入れる。
などなど。 これらはすべてワクワク系のセオリーに沿った留意点だが、それがちりばめられたチラシは、店主の思惑通り、効果を発揮した。前年比については昨年のコロナ事情との違いもあるが、「通常でも夏から秋にかけてお客さんが減る時期に前月比で増加したことには驚きました」とは店主の談だ。
どんなに長く商売を営んでいても、常に自社や自店が知られていないのではないかと正しい疑問を持つこと。そして、知らしめるための留意点を踏まえ、正しいアプローチをすること。あなたの顧客になるはずの多くの人たちは、まだまだあなたと出会うのを待っているのである。
小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)
山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。
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